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諸永裕司のPFASウオッチ

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「永遠の化学物質」として問題になっているPFAS(有機フッ素化合物)。調査報道スクープや最新の自治体や企業の動き、取材の経過などをこちらで発信していきます。(取材:諸永裕司)
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記事一覧

ドイツでは米軍が基地の汚染浄化を進めていた!なぜ日本では放置されているのか…

沖縄での汚染対策は止まったまま国内で初めてPFAS(国際機関が発がん性を指摘している有機フッ素化合物)による汚染が確認された沖縄で、汚染対策の時計は8年前から止まったままだ。 この間、米軍の嘉手納基地(嘉手納町ほか)だけでなく、キャンプ・ハンセン(金武町)などの基地周辺で次々と汚染が見つかり、普天間基地(宜野湾市)では米軍が汚染水を一方的に下水道に放流する事件も起きた。 沖縄県による調査では、普天間基地や嘉手納基地の周辺など46地点のうち33地点で国の目標値を超え、普天間

トランプ氏再選でPFAS政策の行方は? 前回の任期中には飲み水の規制値を「先送り」していたが…

5日に投開票された米大統領選で、共和党のトランプ氏が大統領に返り咲くことが決まった。大幅な政策転換が進められるなかで、PFAS(国際機関が発がん性を指摘する有機フッ素化合物)対策も例外ではなさそうだ。 それが象徴的に現れるとすればEPA(米環境保護庁)の動きではないか。なぜなら、EPAは大統領直属の機関だからだ。EPA関係者と親交を重ねてきた科学者はそう指摘して、つづける。 「EPAが大統領のもとにあるのは、アメリカ大統領が米軍最高司令官の立場にあるためと言えます。もっと

衝撃の調査結果!PFASが子どもの「染色体異常」に関連する可能性を初めて指摘…信州大学が発表

環境省による「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の一環で、信州大学が興味深い研究成果を発表した。 妊娠中の母親の血液中のPFAS(有機フッ素化合物)濃度が上がると、生まれてくるこどもの染色体異常が増える傾向がある――。 染色体異常は流産を引き起こすほか、ダウン症候群の原因にもなるものだ。 エコチル調査ではさまざまな化学物質による健康への影響を調べており、PFASとの関連についての結果が明らかになるのは3例目となる。 これまでに発表されたのは「喘息」と

基地汚染の度に「通報遅れ」が繰り返される理由とは…日米協定に仕込まれた、基地に立ち入り調査させない「抜け道」

米軍が初めて横田基地外へのPFAS漏出を認めたのは10月3日。大量のPFAS汚染水が貯水池からあふれ、雨水溝から基地外へ流れ出たとされる日から34日後のことだった。 再三、指摘されてきた「通報の遅れ」がなぜ、繰り返されるのか。 基地による汚染が起きたときの対応について定めているのが、日米地位協定のもとに2015年に結ばれた環境補足協定だ。日本側の基地への立ち入りについて初めて、法的拘束力のある約束が結ばれたとして、当時の岸田文雄外相は「歴史的意義がある」と胸を張った。

横田基地からPFOSを含んだ大量の汚染水が多摩川へ!外部漏出を初めて認めた米軍の意図とは?

日米地位協定の改定を掲げた石破首相衆議院選挙が15日に始まった。争点の裏金問題とは関係ないが、自民党総裁でもある石破茂首相は「日米地位協定の改定」を掲げている。 2004年に米軍ヘリが沖縄国際大学に墜落したとき、石破首相は防衛相だった。日本の警察が現場に入れず、事故機を米軍が回収するという事態に、「これでも日本は主権国家か」との苦い思いが刻まれたという。 地位協定の歪(いびつ)さは、米軍基地によるPFAS汚染をめぐっても再三、指摘されてきた。その改定を首相が公の場で宣言し

公害工場からの大気汚染…静岡と同じように汚染が発覚したオランダでは、なぜこうも対応が違うのか

テフロン製品で知られる、米大手化学メーカー・デュポン(現ケマーズ)はかつて、主要な生産拠点を世界3カ所にかまえていた。 まず、米ウェストバージニア州にあるワシントン工場。製造過程で使ったPFOAを廃棄し、周辺の飲み水などに深刻な汚染を引き起こした。映画「ダーク・ウォーターズ」で描かれた舞台として知られる。 ほかに、スローニュースで報じてきた日本の清水工場(静岡市)がある。そしてもう一つが、オランダのドルドレヒト工場だ。 独自に入手したデュポンの内部文書によると、2004

化学メーカーがひた隠しにする静岡の下請け作業員の検査結果を独自入手! 米指標の43倍ものPFOA血中濃度が検出されていた【デュポン・ファイル第5部④】

化学工場でPFOAを取り扱う「危険な作業」をしていた孫請けの「協力会社」の社員らが、次々とがんで亡くなっていました。PFOAとの因果関係はないのか。集中連載4回の最終回では、化学メーカーが一切公表していない下請け作業員の血液検査の数値などを明らかにします。 フリーランス 諸永裕司 やはり白血病で亡くなった夫の上司孫請け会社の社長として40年近く、三井ケマーズフロロプロダクツ(MCF)の清水工場で働いていた夫は2年前、肺がんで亡くなった。58歳だった。 それから9カ月後の

「まさか毎日の洗濯で!?」死産と超未熟児の出産を重ねた“妊娠高血圧症”の妻が、疑わざるを得ない理由とは【デュポン・ファイル第5部③】

化学工場でPFOAを取り扱う「危険な作業」をしていた孫請けの「協力会社」の社員らが、次々とがんで亡くなっていました。PFOAとの因果関係はないのか。集中連載4回の第3回では、がんで亡くなった下請けの協力会社社長の妻にも、出産に影響するある症状が出ていたことについてお伝えします。 フリーランス 諸永裕司 顔も見られず、亡くなった娘顔を見ることのできなかった娘の墓にはいまも、折を見て足を運ぶ。 <平成4年6月1日 美有 1才> 墓石にはそう彫られているが、実際には8カ月の

【スクープ静岡発】化学工場の下請け作業員は「PFOAに殺された」のか…夫の死を目の当たりした妻の苦悩【デュポン・ファイル第5部①】

国際機関から発がん性を指摘されている有機フッ素化合物、PFAS(ピーファス)。ジャーナリストの諸永裕司氏は、静岡市の化学メーカー、三井・ケマーズフロロプロダクツ(当時は三井・デュポンフロロケミカル)の工場での汚染の実態を明らかにする大量の極秘データを入手し、4月にSlowNewsでスクープとして15回にわたり報じました。 果たして汚染による被害は出ていないのか。それから半年、諸永氏は工場内でPFASの一種、PFOAを取り扱っていた、孫請けの「協力会社」の家族や工場関係者との

「これでは死んだほうが楽だとマジで思う」静岡の化学工場で“危険な作業”に従事、がんで逝った夫が残した日記【デュポン・ファイル第5部②】

化学工場でPFOAを取り扱う「危険な作業」をしていた孫請けの「協力会社」の社員らが、次々とがんで亡くなっていました。PFOAとの因果関係はないのか。集中連載4回の第2回では、協力会社の社長が残した日記から、最期の日々の言葉をお伝えします。 フリーランス 諸永裕司 肺がんを告知されてから1年の記録2年前の春、夫は58歳で逝った。肺がんだった。 直前まで、製造プラントの業務を担う協力会社の社長として、静岡市にある三井・ケマーズフロロプロダクツ(略称MCF、元三井・デュポンフ

「PFAS汚染は3年で解決できる」重要なのは国や企業トップの姿勢と訴える注目の発言

持続可能な社会へ向けて環境汚染や災害への対策を探る「地盤技術フォーラム2024」。東京・有明の東京ビックサイトで開かれた展示会には、3日間で1万人近くが足を運んだ。 そのなかに、立ち見の聴衆であふれる会場があった。 「国内外のPFAS対策最新技術について」と題された特別セミナー(9月18日)。汚染除去に向き合う一線の研究者6人が報告した。 企画に協力したのは、「PFAS対策技術コンソーシアム」。技術と海外の最新研究成果を国内の産業界や地方自治体などに普及させ、国内でPF

【重大証言】岡山での飲み水汚染の原因と指摘された企業、「推奨温度より低温で焼却」で大気汚染も拡散のおそれ

岡山県吉備中央町で発生しているPFOA(国際機関が発がん性を指摘する有機フッ素化合物の一種)による深刻な飲み水の汚染。それを引き起こした企業が、実はPFOAを含んだ活性炭を再生する際に、環境省の推奨する温度より低い温度で焼却し、PFOAが分解されないまま大気中に放出されていたおそれがあることが、元従業員など関係者の証言で明らかになった。 フリーランス 諸永裕司 飲み水の汚染源は「使用済み活性炭」9月5日、吉備中央町が委嘱した飲み水汚染の「原因究明委員会」は、汚染源について

がんで逝ったのは汚染された水を飲み続けたせいなのか…岡山県吉備中央町、全国初の自治体による血液検査を前に

8月31日午前4時すぎ、あたりはまだ薄暗かった。 和室に敷いた布団の中で、池本睦子さん(65)は目を覚ました。襖をはずして隣り合う八畳間のベッドには、末期がんの夫、武志さん(65)が横になっている。おはようと声をかけたが、反応がない。 あわてて2階にいる息子(42)を呼び、夫の手首に血圧計を巻いた。「E」。エラーを示す文字が出て、計測不能という。もう一度試すが、変わらない。口元に耳を近づけると、もう息づかいは聞こえなかった。 1カ月前、がんの進行度を示す腫瘍マーカーは正

実は絞り込まれていた千葉、神奈川の「汚染源」…自治体研究所のPFAS調査はなぜ黙殺されたのか

「汚染源の99%はわからない」 環境省がこうした見解を示すなか、興味深い動きがあった。 千葉県が7月末、周辺の川や井戸から高濃度のPFAS(有機フッ素化合物)が検出されている海上自衛隊・下総航空基地(千葉県柏市)に立ち入り検査をした。 県環境生活部は「PFOS・PFOAの使用履歴があるかどうかを、流域にあるすべての事業所に聞いている」と言い、対象となる約50カ所の一つと説明するが、基地が汚染源である可能性はきわめて高い。 「汚染源」は17年前から絞り込まれていたじつは、