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メディアの現在地

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存亡を賭けた事態に直面している伝統的メディアと、プラットフォーマーなどの新興メディア。それぞれが抱える様々な問題や、新たな取り組みについての報道をまとめています。(ジャニーズとメ…
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2024年6月の記事一覧

さらば「NHK取材ノート」、すべてのメディアのさらなる進化と新たな表現を目指した奇跡のような3年半

今日の必読は特別編です。NHKは2020年12月からスタートした「NHK取材ノート」を6月末で閉鎖すると発表しました。「放送法改正のために新聞協会との取り引きの道具にされた」というのが、もっぱら聞こえてくる話です。 取材ノートからは、いわゆるかつての新聞社的な発想ではでてこない書き方の記事が次々と発信され、「バズる」記事も数多く出ました。「民業圧迫の象徴」と名指しした新聞協会や民放連の古株にとっては、自分たちの記事が読まれないなかで、「脅威」に見えたのかもしれません。 で

独立系メディアとNHKのコラボ報道でこそ見えた「アプリ」によるおぞましい性加害とプラットフォーマーの重大な責任

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 調査報道・新世紀 File3 子どもを狙う盗撮・児童ポルノの闇調査報道を掲げたNHKスペシャルのシリーズ、今回のFile3は異色作にしてかつこれまでの中では最も唸らされたものでした。 テーマはSNSによる子どもへの性的搾取。前後編からなる番組の前編では、

「高校生自殺の真相」「廊下の着替えはイヤ」「ホラーな観光案内」…読者の疑問をガチで調べて解決したローカルメディアの調査報道「受賞作」はこれだ!

西日本新聞が2018年に始めた「あなたの特命取材班」。読者からLINEやメールで寄せられた疑問や困りごとに、新聞社が記者たちの取材力で調べる。そんな課題解決型の調査報道の取り組みが、全国の地方メディアに広がっています。 そして今回、各社が挑んだ調査報道からもっとも優れた記事を表彰をする「JODアワード」が実施されました。いったいどんなスクープが選ばれたのか。たくさんの切実、かつ率直な市民の疑問や悩みと、その解決に挑んだ調査報道からローカルメディアの可能性が見えてきます。 アワ

しがらみ多き小さな島の中で次々と行政の不正を追及する孤高のローカルメディア「屋久島ポスト」の活動に注目

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 屋久島ポストの調査報道「屋久島ポスト」をご存じでしょうか。鹿児島県の離島、屋久島と口永良部島からなる人口11000人余りの屋久島町で活動するローカルメディアです。 「報道機関による監視の目が届かない」という危機感を抱いた市民たちが立ち上げ、屋久島町政をウ

「永遠泳ぎ続ける」という表記は間違い?それとも…新聞校閲者が考えてみた

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 僕が言いたいのは永遠「永遠と見てられる」 「永遠迷子になった」 それは「延々と」「延々」の間違いじゃないの? と思ってしまいすが、実際にはネットではこうした使われ方があふれています。 これについて、中日新聞校閲部の方が書いたブロクが今日の必読です。

ニュースだけでなく、広告への不信も顕著になった「メディア定点調査2024」

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 「メディア定点調査2024」時系列分析メディアの信頼が報道分野だけでなく、広告についても揺らいでいることが調査で顕著になりました。 博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所は、生活者のメディア接触の現状を捉える『メディア定点調査2024』を6月