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メディアの現在地

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存亡を賭けた事態に直面している伝統的メディアと、プラットフォーマーなどの新興メディア。それぞれが抱える様々な問題や、新たな取り組みについての報道をまとめています。(ジャニーズとメ…
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記事一覧

音声メディアの飛躍! Netflixヒット作の背景! ドキュメンタリーを届ける方法…タイパ重視の読者に贈る5分で読めるポイント【InterBEE 2024リポート⑤】

日本最大級のメディア総合イベント「InterBEE」。メディアの最新事情を知ることができるセッションの中から、注目の内容をリポートしています。 アーカイブ配信がないセッション以外は、もう公式から動画が配信されました。詳しく知りたい方はそちらを見ていただければ。ただ、タイパ重視の方のために、今回は注目セッションのポイントを5分で読めるテキストでお届けします!なぜいま音声コンテンツが飛躍しているのか、ネトフリのヒット作の背景、ドキュメンタリーを届けるには。 スローニュース 熊

ローカル局のコンテンツが宝の山に!?「LCB」は新たな希望となるか。そして今の時代のユーザーに着実にコンテンツを届ける方法とは【InterBEE 2024リポート④】

日本最大級のメディア総合イベント「InterBEE」。メディアの最新事情を知ることができるセッションの中から、注目の内容をリポートしています。 いま、地方55局が連携して「LCB」という新たな取り組みを始めています。ローカル局のコンテンツが宝の山になるかもしれない画期的なこの試みを解説したセッションについて詳しく紹介します。さらに、ユーザーへの「直接的なアプローチ」ではダメな理由と、コンテンツを着実に届ける戦略も。 InterBEE公式のアーカイブでの配信がないセッション

「記者はつぶしがきかないなんて大間違い」ヒューマン・ライツ・ウォッチ笠井哲平さんがメディアで学んだ仕事の原点

記者の仕事はつぶしがきかない──。そんな諦めにも似た声をメディア業界ではよく耳にします。しかし、それは本当なのでしょうか。自分で可能性や選択肢を狭めているだけなのではないでしょうか。   実はメディアの仕事で培ったスキルや経験は、他の業界でも十分に通用します。大切なのは、ちょっとした視点の変え方や親和性のある他のスキルとの組み合わせ。この連載企画「私のメディア転職」では、メディア出身者のキャリアに焦点を当てながら、記者/編集職で得た技術や知識の活かし方、転職術、リスキリングに

NHKのネット受信契約のUX案がユーザーを騙す「ダークパターン」に陥っているという指摘

NHKでは、改正放送法に基づき、2025年10月1日から、これまでのテレビ・ラジオの放送に加えて、あらたにインターネットを通じた番組の配信などが必須業務となります。 NHKはそれにともなう広報活動に熱心で、9月には一部のメディアに対して、必須業務として行なうインターネットサービスのイメージ仮案を公開し、いくつか記事も出ています。 そんな中、ITメディアが、この「仮案」の問題点を検証し、NHKへの取材をもとに、そのUXがいわゆるダークパターン(ユーザーの判断を誤らせるインタ

テレビの発信はもう限界なのか…加速する「個人メディア化」にどう対処する?【InterBEE 2024リポート③】

日本最大級のメディア総合イベント「InterBEE」。メディアの最新事情を知ることができるセッションの中から、注目の内容をリポートしています。 前回はタテ型動画での個人発信について語られたセッションの内容を紹介しましたが、今回はその「個人メディア化」がどう進み、メディアはどう対処していけばいいのかを語ったセッションの内容を紹介します。 スローニュース 熊田安伸 「テレビが面白くないのではなく、ニーズにマッチした発信がない」タテ型動画に象徴されるような、個人のメディアはど

メディアや企業の公式アカウントは信頼されない?タテ型動画の最新事情、キーワードは「クリエイター」と「個人」【InterBEE 2024リポート②】

日本最大級のメディア総合イベント「InterBEE」。メディアの最新事情を知ることができるセッションの中から、注目の内容をリポートしています。 今回は、流行りのタテ型動画と「個人メディア化」への最新事情について語られたセッションの内容をご紹介します。 スローニュース 熊田安伸 タテ型動画の最新事情はSNSで急成長しているタテ型動画のトレンドや、マーケティング活用法はどのようなものか。「タテ型動画マーケティングの最前線」というセッションには、プラットフォーマーと広告会社の

10代の若者によるメディア利用の劇的な変化と、予想外の新たな利用時間帯のトレンドとは【InterBEE 2024リポート①】

日本最大級のメディア総合イベント「InterBEE」。今年も昨日(11月13日)から3日間の日程でスタートしました。テレビの放送技術の展示会だと思われがちですが、それだけではありません。メディアの最新事情を知ることができる数十コマに及ぶセッションが開かれるのです。幕張メッセの会場に行けない人のために、注目の内容をリポートしていきます。 まずは、若者を中心に驚くようなユーザー行動の変化がありましたので、そちらから紹介します。彼らに見てもらえる新たな時間帯の傾向とは。 スロー

ベゾスVSワシントン・ポストだけじゃない!アメリカの新聞で大統領選挙支持候補をはっきりさせる会社が急減している

日本の新聞社とちがって、アメリカの新聞社は政治的スタンスをはっきりする。大統領選では誰を指示するかを明らかにするーーメディアの世界ではよくそう言われてきましたが、その様相が変わってきています。 今回の大統領選では、カマラ・ハリス支持の社説を掲載しようとしていたワシントンポストに対し、オーナーであるジェフ・ベゾスが大統領選の支持を打ち出さないように指示をしたことが話題になりました。 ワシントン・ポストは前回、前々回の大統領選でも反トランプを打ち出したこともあり、ベゾスの方針

日本シリーズの裏側で起きていた「放映権剥奪問題」…NPBもフジテレビもなぜ沈黙しているのか

ベイスターズの日本一で盛り上がった裏側で、「日本野球機構(NPB)によるフジテレビの日本シリーズ取材パス没収」問題が起きていたことはご存知でしょうか。 日本シリーズの生中継の同時刻にドジャースとヤンキースが戦うワールドシリーズのダイジェスト版を放送したフジテレビに対し、NPBが日本シリーズの取材パスを取り上げたことを、11月30日の毎日新聞が報じました。毎日は、その背景にNPBがフジテレビの編成に怒っていることをあげています。 それだけではありません。 驚いたことに、N

【社長交代騒動】自社の経営陣を堂々と批判する東洋経済の記者コラムが追及する「メディアの説明責任」

メディアは他人のことは批判するけれど、自分たちのことについてはスルーするどころか、握りつぶしているじゃないかーーという批判をよく聞きます。実際、朝日新聞が自社の姿勢を批判した池上彰さんのコラムを不掲載にしたケースなど、そうした事例は数しれずあります。 そんな中で、珍しく、堂々と自社の経営陣を批判した記事が東洋経済オンラインに掲載をされました。 東洋経済新報社の社員でコラムニストである山田雄大さんが、同社の社長交代を巡る騒動について、社員や読者への説明責任を果たすべきだ、と

年収2900万円でも待遇改善をもとめてストライキ!大統領選挙最中に混乱するNYTのエンジニア事情

驚きました。11月5日の大統領選を目前に、ニューヨーク・タイムズのエンジニアたちが4日から待遇改善を求めて無期限のストライキに突入したんです。 民主党に肩入れしているNYTとしては、投票日はまさに天王山!それを前にして全社一丸かと思えば、そうではないんですね。その裏側を取材している日本経済新聞の記事は、アメリカのメディアの労働環境などがよくわかります。 ストをうったのは、エンジニアやデータアナリストなどテック系の社員で構成する労組「タイムズ・テック・ギルド」。600人以上

岐阜市のホームレスはわずか3人は本当か?生活困窮者の実情を明らかにした新聞社の調査報道

最近、都内の公園でもホームレスの姿を見かけることが少なくなってきました。果たして、ホームレスは減っているのでしょうか。彼らはどこに追いやられてしまっているのでしょうか。 同様の疑問から今年2月にスタートした岐阜新聞の連載キャンペーン企画『ホームレスは、どこへ行った―岐阜の現場から―』は、統計にはあらわれない生活困窮者の実情を明らかにしていきます。 厚生労働省による2023年の「ホームレスの実態に関する全国調査」では、岐阜県内のホームレスはわずか3人にしかいません。 岐阜市

ZARAやNVIDIAIの秘密を10分で!TBSとブルームバーグが協力した動画配信サービスがスタート

TBSテレビは10月15日、米ブルームバーグと共同ブランドで経済・金融ニュースの配信サービスを始めました。TBSによる独自記事やブルームバーグの日本語記事や動画コンテンツを毎日配信するということです。 早速、のぞいていると、たとえば世界を席巻するZARAの内幕を描いたドキュメンタリー、 あるいは半導体市場をあっという間に席巻し、生成AI時代の勝者となったエヌビディアのサクセスストーリー、 広告費をつかわずに世界中で知られるようになったZARAのブランド戦略には発見の連続

100冊程度の小さな本屋も!個性的な「独立系書店」の開業を促進するトーハンの試みへの期待

カフェやショップの一角をつかって、個性的な小さな書店を気軽にひらけるようにしたい。 街の書店がどんどんなくなっていく中、国内2大出版取次の一つである「トーハン」が、従来より大幅に少ない100冊程度の小規模な書店を開業できる取り組みを始めました。 大規模なチェーンもふくめた既存の書店がつぎつぎに閉店し、またコンビニからも雑誌の売り場がなくなる状況にあって、大きな町でも書店がない「無書店都市」が増えています。 出版文化産業振興財団の調査によると、全国の自治体のうち27.9%