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ニュースだけでなく、広告への不信も顕著になった「メディア定点調査2024」

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。

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「メディア定点調査2024」時系列分析

メディアの信頼が報道分野だけでなく、広告についても揺らいでいることが調査で顕著になりました。

博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所は、生活者のメディア接触の現状を捉える『メディア定点調査2024』を6月4日に発表しました。2006年にはじまった同調査は毎年行われ、接触時間や生活者の意識など時系列分析から見えてきたメディア環境の変化を知ることができます。

今年の傾向として、同研究所は以下の3つをあげています。

①メディア総接触時間は432.7分。「携帯電話/スマートフォン」のシェアが前年比約3%増、「テレビ」が約2%減。

②スマートフォンでのテレビ番組視聴の増加など、コンテンツ×視聴デバイスの組み合わせの多様化が加速。

③スマートフォンからのチケット購入や店舗予約が増えた人は6割超に。生活行動のモバイルシフトも進んでいる。

YoutubeやTiktok,あるいがTverなど、スマホでの動画視聴やテレビ受像機のネット接続など動画を中心としたネット利用がより広がっているということでしょう。

この調査の中で、今回、メディアに対する意識や態度の変化について注目してみました。

報道分野については、厳しい結果が出ています。

「新聞やテレビの報道がジャーナリズムを支える土台だと思う」という回答は過去最低の32.6%となってしまいました。この数字はおおむね右肩下がりの状態です。

回答を年代別で見ると、20代、30代で特に低く、20%台にとどまります。

さらに「プロの記者が書いたニュースは信頼できる」という設問は、14.8%と低い回答です。こちらも調査開始以来、15%前後と低迷をしています。

信頼を失っているのは、ニュースのプロである報道機関だけではありません。

「SNSだけで、ニュースを取得するのは不安だ」という回答は、2016年の36%に比べて急増し、過去最高の52.5%にまでのぼっています。

このあたりの課題解決にこそ、報道機関の信頼回復のヒントがあるかもしれません。

さて、今回特徴的なのは広告への不満が顕著になっていることです。

「広告の出方や内容に不快感を感じることが増えた」と答える人は、右肩上がりで増えていたのですが、今回は急増し、過去最高の49%にまで達しています。

デジタル広告に絞ってみれば、その傾向は顕著です。「スマホでネットを利用するとき、広告ブロック機能を利用したい」という層は急増し、41.9%までのぼっています。

ユーザーの不満、メディアの問題がニュースや情報の信頼度から広告のあり方にまで広がっていることが明確に伝わる、今回の調査でした(瀬)

(データ、図表は博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所が提供)