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メディアの現在地

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存亡を賭けた事態に直面している伝統的メディアと、プラットフォーマーなどの新興メディア。それぞれが抱える様々な問題や、新たな取り組みについての報道をまとめています。(ジャニーズとメ…
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【メディアのAI活用事例も紹介】「ぶっちゃっけ生成AIで新聞つくるってどうなんですか」イベント動画を会員向けに配信

スローニュース会員のみなさま、お待たせいたしました。8月30日に開催した会員限定イベント【メディアのAI活用事例も紹介】「ぶっちゃっけ生成AIで新聞つくるってどうなんですか」を収録した動画を配信いたします。 佐賀県の佐賀新聞社が創刊140周年に合わせ、生成AIで作った記事や画像を全面的に使った「AI佐賀新聞」を8月1日の朝刊に掲載しました。記事を丸ごと書かせたり、画像を作成させたり、新聞の最終面一面まるごと、AIを大幅に活用してつくったという野心的なこころみです。 このプ

政治家に利用されかけた!?サイト廃止、NHKの信頼も失墜しかねなかった最大のピンチとは【NHK政治マガジンの興亡⑤】

6年の歴史に幕を下ろした「NHK政治マガジン」。話題を呼んだウェブメディアは最終的には「民業圧迫」の象徴とまで言われました。どのように生まれ、どのような役割を果たし、どうして廃止されたのか。その秘話を数回にわたってお届けしています。 第5回は、次々と襲ってきた大ピンチについて。中には政治マガジンの存続どころか、NHKの信用失墜にもつながりかねなかった大問題もありました。 ジャーナリストの須田桃子さんが、「政治マガジン」を立ち上げ、3年間編集を担当した、熊田安伸・元NHKネ

これでX離れも安心?!BluySkyに可能性を見つけたメディアの戦略とは

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 Twitterの代替になる? Blueskyに可能性を見出す新聞社X(旧Twitter)がメディアとの関係性もふくめて迷走するなかで、これまでXに記事の拡散やイベントの告知、読者とのエンゲージメントづくりを頼ってきたメディアの多くは、今後について頭を悩ませ

政界からの圧力・忖度はあったのか、そして最も読まれた「意外な記事」とは【NHK政治マガジンの興亡④】

6年の歴史に幕を下ろした「NHK政治マガジン」。話題を呼んだウェブメディアは最終的には「民業圧迫」の象徴とまで言われました。どのように生まれ、どのような役割を果たし、どうして廃止されたのか。その秘話を8回にわたってお届けしています。 第4回は、「政界からの圧力や忖度はあったのか」について打ち明けます。そして全期間を通して最も読まれた記事についても紹介。 ジャーナリストの須田桃子さんが、「政治マガジン」を立ち上げ、3年間編集を担当した、熊田安伸・元NHKネットワーク報道部専

独立して黒字化!ふざけた『デイリーポータルZ』の「真面目な収益化」に学ぶ

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 「黒字、出ちゃいました」 独立から半年、デイリーポータルZの今 林雄司に聞くこんな発想があったかというおもしろコンテンツでネットメディアにあっても異彩を放ってきたデイリーポータルZ。 私の好みは鳩の記事で、こんなのとか、 あるいは、広告企画もこんなのと

削除された「ガースー」と、スクープになった「訃報」、そしてついに達成した100万PV記事の裏側【NHK政治マガジンの興亡③】

6年の歴史に幕を下ろした「NHK政治マガジン」。話題を呼んだウェブメディアは最終的には「民業圧迫」の象徴とまで言われました。どのように生まれ、どのような役割を果たし、どうして廃止されたのか。その秘話を数回にわたってお届けしています。 第3回は、いよいよ有名政治家に焦点を当てた記事を配信、内容や演出にどのような工夫をしていたのか。そしてついに100万PVを超えた「NHKらしからぬ記事」とはどんなものだったのかなどについて。 ジャーナリストの須田桃子さんが、「政治マガジン」を

日本の「デジタル報道」はここまで来た!最先端が一望できるカタログが登場

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 デジタル報道カタログ紙や放送といった従来型の報道からユーザーが離れてい行くなか、報道各社ともデジタル発信に益々力を入れるようになっています。 とはいえ、どのようなデジタル表現が最先端で、どんな発信を目指していけばいいのか、まだよく分からないというメディア

「3カ月以内に週10万PVを超えなければ廃刊!」Yahoo!などのプラットフォームに頼らず、どうやってハードルを乗り越えたのか【NHK政治マガジンの興亡②】

6年の歴史に幕を下ろした「NHK政治マガジン」。話題を呼んだウェブメディアは最終的には「民業圧迫」の象徴とまで言われました。どのように生まれ、どのような役割を果たし、どうして廃止されたのか。その秘話を8回にわたってお伝えしています。 第2回は、いよいよローンチとなった後、幹部から課された高いハードルをどのように超えたのか。 ジャーナリストの須田桃子さんが、「政治マガジン」を立ち上げ、3年間編集を担当した、熊田安伸・元NHKネットワーク報道部専任部長に聞いています。 NH

「政治マガジン」はこうして誕生した!その経緯と政治部との“微妙な関係”とは?【NHK政治マガジンの興亡①】

5月29日に開かれたイベント『「NHK政治マガジン」の内幕をすべて語ります!そしてNHKはどこへ行くのか』。参加できなかった皆さんのため、トークの内容と、さらにイベントでは語り切れなかったより深い内幕を加えて(2倍近く加筆しています)、数回にわたってお届けします。 第1回は「政治マガジン」誕生の経緯と、当初から抱えていた編集権をめぐる政治部との「微妙な関係」について。 「民業圧迫の象徴」とまで言われたウェブメディアがなぜ誕生し、突然廃止されたのか今年3月29日で6年の歴史

さらば「NHK取材ノート」、すべてのメディアのさらなる進化と新たな表現を目指した奇跡のような3年半

今日の必読は特別編です。NHKは2020年12月からスタートした「NHK取材ノート」を6月末で閉鎖すると発表しました。「放送法改正のために新聞協会との取り引きの道具にされた」というのが、もっぱら聞こえてくる話です。 取材ノートからは、いわゆるかつての新聞社的な発想ではでてこない書き方の記事が次々と発信され、「バズる」記事も数多く出ました。「民業圧迫の象徴」と名指しした新聞協会や民放連の古株にとっては、自分たちの記事が読まれないなかで、「脅威」に見えたのかもしれません。 で

しがらみ多き小さな島の中で次々と行政の不正を追及する孤高のローカルメディア「屋久島ポスト」の活動に注目

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 屋久島ポストの調査報道「屋久島ポスト」をご存じでしょうか。鹿児島県の離島、屋久島と口永良部島からなる人口11000人余りの屋久島町で活動するローカルメディアです。 「報道機関による監視の目が届かない」という危機感を抱いた市民たちが立ち上げ、屋久島町政をウ

ニュースだけでなく、広告への不信も顕著になった「メディア定点調査2024」

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 「メディア定点調査2024」時系列分析メディアの信頼が報道分野だけでなく、広告についても揺らいでいることが調査で顕著になりました。 博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所は、生活者のメディア接触の現状を捉える『メディア定点調査2024』を6月

Twitterでなぜヘイトが放置されていたのか、どういう基準で削除されたのか、新証言で明らかに

現在の「X」こと、旧「Twitter」。日本でのマンスリー・アクティブ・ユーザー(MAU=月に1回以上利用する人の数)は6000万人を超え、その影響力も絶大なSNSだ。しかしその内部では、一部のメディアを優遇して表示する措置が取られていたことを、内部の証言をもとに前回の記事で明らかにした。 ではもう一つの疑問、「なぜヘイトが放置されているのか、どういう基準で削除しているのか」についてはどうだったのだろうか。今回はその真相を明らかにする。 スローニュース取材班 ヤバい書き

Twitterの「特定のメディアを優遇」「ヘイト放置」は本当だったのか?証言で浮かび上がった真相とは

去年7月に「X」と名称を変えるまで「Twitter」という名称で知られたソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)。利用者が多い日本では、マンスリー・アクティブ・ユーザー(MAU=月に1回以上利用する人の数)が6000万人を超えるという。もはや凡百のメディアを超える拡散力を持った装置は、この国の言論空間だけでなく、社会活動や政策にさえ影響を与えているといっていい存在だ。 そんなSNSには、常に疑惑がつきまとってきた。 「特定のメディアだけ表示されるよう、優遇していたの