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メディアの現在地

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存亡を賭けた事態に直面している伝統的メディアと、プラットフォーマーなどの新興メディア。それぞれが抱える様々な問題や、新たな取り組みについての報道をまとめています。(ジャニーズとメ…
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#調査報道

政治家に利用されかけた!?サイト廃止、NHKの信頼も失墜しかねなかった最大のピンチとは【NHK政治マガジンの興亡⑤】

6年の歴史に幕を下ろした「NHK政治マガジン」。話題を呼んだウェブメディアは最終的には「民業圧迫」の象徴とまで言われました。どのように生まれ、どのような役割を果たし、どうして廃止されたのか。その秘話を数回にわたってお届けしています。 第5回は、次々と襲ってきた大ピンチについて。中には政治マガジンの存続どころか、NHKの信用失墜にもつながりかねなかった大問題もありました。 ジャーナリストの須田桃子さんが、「政治マガジン」を立ち上げ、3年間編集を担当した、熊田安伸・元NHKネ

政界からの圧力・忖度はあったのか、そして最も読まれた「意外な記事」とは【NHK政治マガジンの興亡④】

6年の歴史に幕を下ろした「NHK政治マガジン」。話題を呼んだウェブメディアは最終的には「民業圧迫」の象徴とまで言われました。どのように生まれ、どのような役割を果たし、どうして廃止されたのか。その秘話を8回にわたってお届けしています。 第4回は、「政界からの圧力や忖度はあったのか」について打ち明けます。そして全期間を通して最も読まれた記事についても紹介。 ジャーナリストの須田桃子さんが、「政治マガジン」を立ち上げ、3年間編集を担当した、熊田安伸・元NHKネットワーク報道部専

削除された「ガースー」と、スクープになった「訃報」、そしてついに達成した100万PV記事の裏側【NHK政治マガジンの興亡③】

6年の歴史に幕を下ろした「NHK政治マガジン」。話題を呼んだウェブメディアは最終的には「民業圧迫」の象徴とまで言われました。どのように生まれ、どのような役割を果たし、どうして廃止されたのか。その秘話を数回にわたってお届けしています。 第3回は、いよいよ有名政治家に焦点を当てた記事を配信、内容や演出にどのような工夫をしていたのか。そしてついに100万PVを超えた「NHKらしからぬ記事」とはどんなものだったのかなどについて。 ジャーナリストの須田桃子さんが、「政治マガジン」を

日本の「デジタル報道」はここまで来た!最先端が一望できるカタログが登場

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 デジタル報道カタログ紙や放送といった従来型の報道からユーザーが離れてい行くなか、報道各社ともデジタル発信に益々力を入れるようになっています。 とはいえ、どのようなデジタル表現が最先端で、どんな発信を目指していけばいいのか、まだよく分からないというメディア

「3カ月以内に週10万PVを超えなければ廃刊!」Yahoo!などのプラットフォームに頼らず、どうやってハードルを乗り越えたのか【NHK政治マガジンの興亡②】

6年の歴史に幕を下ろした「NHK政治マガジン」。話題を呼んだウェブメディアは最終的には「民業圧迫」の象徴とまで言われました。どのように生まれ、どのような役割を果たし、どうして廃止されたのか。その秘話を8回にわたってお伝えしています。 第2回は、いよいよローンチとなった後、幹部から課された高いハードルをどのように超えたのか。 ジャーナリストの須田桃子さんが、「政治マガジン」を立ち上げ、3年間編集を担当した、熊田安伸・元NHKネットワーク報道部専任部長に聞いています。 NH

「政治マガジン」はこうして誕生した!その経緯と政治部との“微妙な関係”とは?【NHK政治マガジンの興亡①】

5月29日に開かれたイベント『「NHK政治マガジン」の内幕をすべて語ります!そしてNHKはどこへ行くのか』。参加できなかった皆さんのため、トークの内容と、さらにイベントでは語り切れなかったより深い内幕を加えて(2倍近く加筆しています)、数回にわたってお届けします。 第1回は「政治マガジン」誕生の経緯と、当初から抱えていた編集権をめぐる政治部との「微妙な関係」について。 「民業圧迫の象徴」とまで言われたウェブメディアがなぜ誕生し、突然廃止されたのか今年3月29日で6年の歴史

さらば「NHK取材ノート」、すべてのメディアのさらなる進化と新たな表現を目指した奇跡のような3年半

今日の必読は特別編です。NHKは2020年12月からスタートした「NHK取材ノート」を6月末で閉鎖すると発表しました。「放送法改正のために新聞協会との取り引きの道具にされた」というのが、もっぱら聞こえてくる話です。 取材ノートからは、いわゆるかつての新聞社的な発想ではでてこない書き方の記事が次々と発信され、「バズる」記事も数多く出ました。「民業圧迫の象徴」と名指しした新聞協会や民放連の古株にとっては、自分たちの記事が読まれないなかで、「脅威」に見えたのかもしれません。 で

独立系メディアとNHKのコラボ報道でこそ見えた「アプリ」によるおぞましい性加害とプラットフォーマーの重大な責任

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 調査報道・新世紀 File3 子どもを狙う盗撮・児童ポルノの闇調査報道を掲げたNHKスペシャルのシリーズ、今回のFile3は異色作にしてかつこれまでの中では最も唸らされたものでした。 テーマはSNSによる子どもへの性的搾取。前後編からなる番組の前編では、

「高校生自殺の真相」「廊下の着替えはイヤ」「ホラーな観光案内」…読者の疑問をガチで調べて解決したローカルメディアの調査報道「受賞作」はこれだ!

西日本新聞が2018年に始めた「あなたの特命取材班」。読者からLINEやメールで寄せられた疑問や困りごとに、新聞社が記者たちの取材力で調べる。そんな課題解決型の調査報道の取り組みが、全国の地方メディアに広がっています。 そして今回、各社が挑んだ調査報道からもっとも優れた記事を表彰をする「JODアワード」が実施されました。いったいどんなスクープが選ばれたのか。たくさんの切実、かつ率直な市民の疑問や悩みと、その解決に挑んだ調査報道からローカルメディアの可能性が見えてきます。 アワ

しがらみ多き小さな島の中で次々と行政の不正を追及する孤高のローカルメディア「屋久島ポスト」の活動に注目

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 屋久島ポストの調査報道「屋久島ポスト」をご存じでしょうか。鹿児島県の離島、屋久島と口永良部島からなる人口11000人余りの屋久島町で活動するローカルメディアです。 「報道機関による監視の目が届かない」という危機感を抱いた市民たちが立ち上げ、屋久島町政をウ

「傍聴ブロック」スクープの背景には記者たちの「見えざる連携」があった!尾行して取材した記者の知られざるエピソード

5月23日に『裁判の「傍聴ブロック」を教育委員会が組織的にやっていた!わいせつ教員事件裁判の裏で行われた工作を暴いた執念の取材』というタイトルの記事を配信しました。 しかしその後、指摘を受けて調べたところ、東京新聞ではなく、共同通信のスクープであることがわかりました。ただ、それでも東京新聞の記者の取材はその価値が決して色あせるようなものではなく、熱意と執念で取材した記者たちの「見えざる連携」ともいうべき素晴らしいエピソードが背景にあったことが分かりました。 当時、共同通信

Twitterでなぜヘイトが放置されていたのか、どういう基準で削除されたのか、新証言で明らかに

現在の「X」こと、旧「Twitter」。日本でのマンスリー・アクティブ・ユーザー(MAU=月に1回以上利用する人の数)は6000万人を超え、その影響力も絶大なSNSだ。しかしその内部では、一部のメディアを優遇して表示する措置が取られていたことを、内部の証言をもとに前回の記事で明らかにした。 ではもう一つの疑問、「なぜヘイトが放置されているのか、どういう基準で削除しているのか」についてはどうだったのだろうか。今回はその真相を明らかにする。 スローニュース取材班 ヤバい書き

Twitterの「特定のメディアを優遇」「ヘイト放置」は本当だったのか?証言で浮かび上がった真相とは

去年7月に「X」と名称を変えるまで「Twitter」という名称で知られたソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)。利用者が多い日本では、マンスリー・アクティブ・ユーザー(MAU=月に1回以上利用する人の数)が6000万人を超えるという。もはや凡百のメディアを超える拡散力を持った装置は、この国の言論空間だけでなく、社会活動や政策にさえ影響を与えているといっていい存在だ。 そんなSNSには、常に疑惑がつきまとってきた。 「特定のメディアだけ表示されるよう、優遇していたの

「未来のグランドデザインを描くのは無理」NHK経営が職員に語った衝撃発言の一部始終を明らかにする

スローニュース取材班 前回、NHKのスペシャルコンテンツと呼ばれる特設サイトの多くが一斉に更新停止となることなど、デジタル化に逆行するような指示がコンテンツ制作の現場に相次いでいることを伝えた。デジタル職員の廃止をはじめとした新たな人事制度が断行されることは、スローニュースでの報道の2日後になって職員側(組合)に示され、衝撃を持って受け止められている。 今回、新たに入手したのは、NHKの労働組合と会長が直接協議をする「中央経営協議会」の開催報告だ。職員であれば誰でも見られ