見出し画像

年収2900万円でも待遇改善をもとめてストライキ!大統領選挙最中に混乱するNYTのエンジニア事情

驚きました。11月5日の大統領選を目前に、ニューヨーク・タイムズのエンジニアたちが4日から待遇改善を求めて無期限のストライキに突入したんです。

民主党に肩入れしているNYTとしては、投票日はまさに天王山!それを前にして全社一丸かと思えば、そうではないんですね。その裏側を取材している日本経済新聞の記事は、アメリカのメディアの労働環境などがよくわかります。

ストをうったのは、エンジニアやデータアナリストなどテック系の社員で構成する労組「タイムズ・テック・ギルド」。600人以上が加入しているといういます。

今回、NYTが24年7〜9月期決算で純利益が前年同期比で20%増の6414万ドル(約97億円)を記録するなど好業績をあげていることを理由に、待遇改善を求めています。

記事中には、エンジニア男性の「技術者がいなければ優良なコンテンツを提供できないと経営陣は分かっていない」といった生々しい言葉がいくつも取り上げられています。

ちなみにテック・ギルド加入者の平均の年間報酬(給与やボーナス、ストックオプションを含む)は19万ドル(約2900万円)。同社の記者平均より4万ドル高いということです。金額は物価が違うにしろ、記者とエンジニアの立場など、日本の新聞メディアとは事情がだいぶ異なります。

記事では、この報酬を紹介した後に、「ただし、エンジニアなどは、一般的に報酬が高額なIT大手との競争を経て獲得した人材といえる」と評しているのが、日本の新聞社ではデジタルで先陣をきる日経らしいですね。優秀なエンジニアにお金をかけないと競争に勝てないということが、記者にまで浸透しているのでしょう。

NYT自身もこのストライキについて、自社で報じています。このあたりの姿勢は、自社の事件には及び腰な日本の新聞社もみならってほしいところですね。(瀬)

このコラムは、あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしいという方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツなどをおすすめしています。