日本シリーズの裏側で起きていた「放映権剥奪問題」…NPBもフジテレビもなぜ沈黙しているのか
ベイスターズの日本一で盛り上がった裏側で、「日本野球機構(NPB)によるフジテレビの日本シリーズ取材パス没収」問題が起きていたことはご存知でしょうか。
日本シリーズの生中継の同時刻にドジャースとヤンキースが戦うワールドシリーズのダイジェスト版を放送したフジテレビに対し、NPBが日本シリーズの取材パスを取り上げたことを、11月30日の毎日新聞が報じました。毎日は、その背景にNPBがフジテレビの編成に怒っていることをあげています。
それだけではありません。
驚いたことに、NPBは第3戦を放映予定だったフジテレビから番組の放映権までとりあげるつもりでいたことを、産経新聞の植村徹也・特別客員記者がコラム「鬼筆のスポ魂」の中でスクープしています。
それによれば、NPBは日本シリーズ第1戦当日の10月26日に事務局長名で12球団を含む関係者に処分内容を示す通達を出しており、そこには「フジテレビの日本シリーズ第3戦中継を他のテレビ局に変更調整する」という文言があったのです。
その後、「放送局の変更調整」は約3時間後に撤回され、フジテレビは第3戦をそのまま放送しました。
一連の動きで気になるのは、この問題についてNPBが公式のコメントを出していないことです。NPBは記者会見などで、その経緯や理由を説明をすべきだという植村徹也記者の指摘は当然です。
「出禁」はもちろんですが、「放映権剥奪」をつかって編成権に圧力をかけるというのは報道の自由にも影響を与えかねない行為ともいえます。
放映権剥奪をしようとしたのが事実ならば、どういう理由なのか。それがなぜわずか3時間で取り消されたのか。NPBとテレビ局の間でどんなやりとりがあったのか。なんらかの取引がなかったのか。日本シリーズという国民的関心事、放送という公共空間で不透明な疑問がつぎつぎに湧いてきます。
NPBはもちろん、当事者であるフジテレビはきちんと、この問題について説明をするべきでしょう。公共財産である電波を使うことは、それだけの責任を負っています。(瀬)