道路復旧からネット接続、酒蔵の被災まで、能登半島地震の可視化コンテンツ最新事情まとめ
スローニュース 熊田安伸
元日に発生した「令和6年能登半島地震」に関するコンテンツ。発災1週間ほどのタイミングで、「サービス・ジャーナリズム」「公共性」「可視化」などの観点から、メディアなどの発信で注目したものを3回にわたって取り上げました。
その後、新たなコンテンツや取り組みも増えてきたので、今回も注目したものをまとめて紹介し、発信の課題を考えてみようと思います。
道路の復旧はどこまで進んだか、ようやく本家が「見える化」
前の記事では、自治体や企業、NPOの取り組みで、道路の通行めや実際に通れるようになった場所を示したコンテンツをご紹介しました。
そんな中、1月12日に国土交通省が「道路復旧見える化マップ」を公開しました。
復旧済みの区間が分かるほか、ピンクの区間は緊急車両のみ、黒の区間はまだ通行止めとなっていることがわかります。さらに、直近3日間の都市間の移動の所要時間も表示。被災地支援に今こそ必用なものですね。
一度、こうしてフォーマットを作ったのですから、次の災害からは更にスピーディーに提供できるのではないでしょうか。
ネットがつながる場所、市民からの情報でマップに
「能登半島地震コネクトマップ」は、一般社団法人コード・フォー・カナザワが公開したもので、ネットがつながる場所を市民がみずから入力し、情報を共有しようという取り組みです。
このサイトについては、「withnews」に詳しい記事が掲載されていたので、そちらのリンクを張っておきます。
被災者が投稿できるという点では、Yahoo!の「災害マップ」と同様、誤情報対策は気になるところですが、それでもこうした取り組みが起きてくるのはいいことですよね。
Yahoo!が今度は避難所開設情報を発信、課題も
前の記事で進化した「災害マップ」を紹介したYahoo!ですが、またしても新たな取り組みをローンチしてきました。避難所の開設状況が一覧で分かるものです。
こうした一覧は、以前からNHKなどのメディアが発信してきたものがありますが、新しい点が二つあります。一つはそれぞれの避難所の混雑状況が分かること、もう一つがマップと結びついていることです。
ただ、「混雑状況」については、例えば輪島市を見ると、この記事を書いている16日時点でいずれの避難所も「不明」となったままです。これについてYahoo!に尋ねてみたところ、Lアラートで情報を収集して自動で反映する仕組みになっているそうです。だから自治体が入力していないと、せっかくの機能が生かせないということですね。
こうした点は、自動で収集できなくても記者などが取材して情報を集めてくる従来メディアとの差が出るところでしょうか。
NHKはバージョンアップし「災害情報マップ」と改名
その従来メディア側のNHKですが、「公共的な役割を果たすため徹夜でローンチした」避難所と給水所のマップを更に改修してきました。
「災害情報マップ」と名称も変更し、道路の復旧情報を載せたほか、被災者に役立つ各種のインフォメーションを入れ始めています。これはまさに取材があってこそ、そして何が重要かという「目利きの判断」があってこそ発信できるものですね。
結局、どこが「公共的基盤」になるのか
こういう発信を見るにつけ、前回も言及した、「災害時に情報が集まって、被災者も支援する側もみんなに役立つ公共的な基盤」がやはり重要ではないかという思いを改めて強くしました。
そんな中、1月13日に発信されたこんな記事が、私の周囲のメディア関係者や研究者の間で話題になりました。石川県や自衛隊、DMATが集めた避難者の情報を、県の災害情報システムに一元化することになったというのです。これならば、計画外に自然発生的に立ち上がった「見えない避難所」への支援などにも、対応できるケースが増えてきますね。
とはいえ、なぜ話題になったかというと、「逆にいうと、なぜこんな基本的なことができてこなかったのだろう」ということ。災害が起きる前に、どこにどう情報を集約し、どんなプラットフォームで利用するのかを定めておく必要がありますよね。
酒蔵の被害状況をまとめ、支援を求めるサイト
話は変わりますが、スローニュースの読者から「酒蔵の被害がひどいそうなので、スローニュースで調べて報じてもらえませんか」という提案をいただきました。
これ、きっともう誰かやっているだろうと探してみたところ、こんなサイトを見つけました。日本酒を活用したプロモーションやブランディング戦略の立案・企画などを手掛ける、クロッシング株式会社という「おいしいSAKE」というサイトです。
酒蔵の被災状況をマッピングされている人がいること、こちらのサイトで知りました。募金先なども分かりやすくまとめられています。「日本酒飲んで復興支援」のイベント、行こうかなと真剣に考えています。