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諸永裕司のPFASウオッチ

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「永遠の化学物質」として問題になっているPFAS(有機フッ素化合物)。調査報道スクープや最新の自治体や企業の動き、取材の経過などをこちらで発信していきます。(取材:諸永裕司)
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2024年6月の記事一覧

「血液調査の必要性」を明記し「未然防止の観点も踏まえて」と提言、専門家のPFAS評価書に環境省はどう動くのか

フリーランス 諸永裕司 「一日に摂取しても大丈夫な量」が打ち出されたが……発がん性が指摘される「永遠の化学物質」を、体内にどれくらいまで取り込んでも健康への影響はないか。 PFASワーキンググループ(WG)は6月20日、PFAS(有機フッ素化合物)による健康影響についての評価書をまとめ、「耐容一日摂取量(許容摂取量)」を打ち出した。  PFOS  20ナノグラム(1日、体重1キロあたり)  PFOA  20ナノグラム(同) これまでにも報じてきたように、アメリカ環境保

PFAS汚染への取り組みを批判した国連報告書に東京都が削除要求!その反論内容を詳しく検証する

フリーランス 諸永裕司 東京都が国連報告書に削除要求という報道<政府は全文削除を要求したが、文章は東京都がほぼ作成したことが判明> 6月13日付の東京新聞朝刊にこんな内容の記事が出た。 国連人権理事会のもとにある「ビジネスと人権」作業部会がまとめた報告書に対し、日本政府は一部の削除を要求する反論文を出し、その内容はほぼ東京都が作成していた、というのである。 作業部会は昨年夏に日本各地で調査を行い、「リスクにさらされている人たち」(女性、LGBTQI+、障害者、先住民族

【スクープ】工場のPFAS汚染水が「垂れ流し同然」は本当か?極秘文書に記された衝撃の排出方法とは

国際機関が発がん性を指摘している化学物質「PFAS」。様々な用途に使われてきたため、PFAS汚染はいまや日本の各地で次々と確認されています。 このうち、静岡市の化学メーカー、三井・ケマーズフロロプロダクツの工場では、働いていた人だけでなく、周辺からも検出されました。その謎を解く実に50ギガバイト(5万ファイル分)にのぼる工場内部の膨大な極秘データ『デュポン・ファイル』をスローニュースは入手し、深刻な汚染を引き起こしていた原因や実態を解明しています。 汚染が広がった要因とし

「米軍・横田基地が汚染源」と研究者、ところが東京都は監視井戸の水質測定をやめた!小池知事はなぜ動かない?

なぜ横田基地が汚染源と言えるのか東京・多摩地区の汚染源のひとつは米軍・横田基地である――。 京都大学の原田浩二准教授は昨年、多摩地区にある140ヶ所の地下水などを測定・分析し、あらためてそう結論づけた。 主な根拠は二つある。 第一に、立川市の浅井戸と深井戸から、かつて基地の消火訓練に使われた泡消火剤に含まれるPFOSなどがきわめて高濃度で検出された。最大値は3102ナノグラムと、国の目標値の60倍を超える。なお、地下水脈はおおまかに西から東へ流れおり、基地の西側の井戸か

工場のPFAS汚染水は「垂れ流し同然」だった!極秘文書が語るその実態とは【スクープ連載『デュポン・ファイル』動画編②】

その工場の周辺が、なぜ高濃度の“毒の水”に汚染されたのか。長期連載してきた『デュポン・ファイル』の第2シーズン「排水編」を、7分余りの動画にまとめました。 PFAS汚染はいまや日本の各地で次々と確認されています。静岡市の化学メーカーの工場では「垂れ流し同然だった」という元従業員の言葉は本当なのか。驚くようなその管理の実態を、工場のある地元の皆さんだけでなく、この問題を初めて聞くという多くの方にぜひ視聴していただきたいと思い、わかりやすい動画で発信します。 取材・監修:諸永

小池知事が約束した「都政の透明化」はどこへ?「黒塗り」を「白塗り」に変えてごまかす「PFAS情報非公開」

フリーランス 諸永裕司 東京都知事選の告示まで2週間あまり。 立憲民主党の参院議員・蓮舫氏、広島県安芸高田市長の石丸伸二氏などが候補に名乗りをあげ、小池百合子・都知事の動向に注目が集まっている。 8年前、東京都庁を「伏魔殿」と呼んで当選した小池知事は、就任から約5カ月後の記者会見で、こう語った。 「かねてより東京大改革、その一丁目一番地には情報公開があるということを申し上げてまいりました。都政を見える化させるという点、透明化ということであります」 情報開示請求にかかる