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内部告発(公益通報)をめぐる問題

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広島県警、鹿児島県警、兵庫県と、いま内部告発(公益通報)が改めて大きな問題になっています。まだ十分に理解されていない公益通報制度をめぐる報道をこちらにまとめています。(広島県警の…
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五百旗頭理事長逝去に関する告発文書の記述について

兵庫県の前西播磨県民局長が作成した4ページの告発文書「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について(令和6年3月12日現在)」をめぐり、兵庫県議会は、真実解明のため地方自治法100条に基づく調査権限を発動して、特別委員会(百条委員会)を開催しています。この文書に対する斎藤元彦知事らの対応が公益通報者保護法に違反するのではないか、との問題が社会の関心事となっています。 内部告発の実情を長年研究してきた上智大学の奥山俊宏教授が、同委員会で参考人として陳述するのに合わせ5日に同委員会に

【詳細解説】真実相当性に関する兵庫県の判断の問題点について

兵庫県の前西播磨県民局長が作成した4ページの告発文書「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について(令和6年3月12日現在)」をめぐり、兵庫県議会は、真実解明のため地方自治法100条に基づく調査権限を発動して、特別委員会(百条委員会)を開催しています。この文書に対する斎藤元彦知事らの対応が公益通報者保護法に違反するのではないか、との問題が社会の関心事となっています。内部告発の実情を長年研究してきた上智大学の奥山俊宏教授が、同委員会で参考人として陳述するのに合わせ5日に同委員会に提出

「告発文書を世に知らしめたのは元局長ではなく斎藤知事その人です」なぜ知事らの行いが法律違反といえるのか、兵庫県議会・百条委での解説全文(後編)

兵庫県の元西播磨県民局長が作成した4ページの告発文書「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について(令和6年3月12日現在)」をめぐり、兵庫県議会は、真実の解明のために地方自治法100条に基づく調査権限を発動して、「百条委員会」を開催しています。 5日午前は、スローニュース上で『新聞ではわからない疑惑の核心!「おねだり疑惑」斎藤兵庫県知事はどこで間違えたのか』を発信した、公益通報制度に詳しい上智大学教授でジャーナリストの奥山俊宏さんが百条委員会に招かれ、意見を陳述しました。 ス

「斎藤知事の言動は“公開パワハラ”だ」兵庫県議会の百条委で奥山教授が鋭く指摘した全文を掲載(前編)

兵庫県の前西播磨県民局長が作成した4ページの告発文書「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について(令和6年3月12日現在)」をめぐり、兵庫県議会は、真実の解明のために地方自治法100条に基づく調査権限を発動して、特別委員会(百条委員会)を開催しています。 5日午前は、スローニュース上で『新聞ではわからない疑惑の核心!「おねだり疑惑」斎藤兵庫県知事はどこで間違えたのか』を発信した、公益通報制度に詳しい上智大学教授でジャーナリストの奥山俊宏さんが百条委員会に招かれ、意見を陳述しまし

内部告発の行方はどうなる? 兵庫県が信金への補助金を増額してキックバックさせた疑惑で、サンテレビが新たな文書を入手

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 兵庫県元副知事が補助金増額を指示した県職員メモ 阪神・オリックスの優勝パレードの約1週間前亡くなった兵庫県の元局長、渡瀬康英さんによる「内部告発」。その行方はどうなるのでしょうか。 注目が集まる中、地元のサンテレビが疑惑が深まる新たな文書を入手しました。

「内部告発は組織への裏切りではなく、公益のため必要なこと」今の時代にこそ読みたい、組織と告発者を取材したルポルタージュ

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 「ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか」広島県警、鹿児島県警、そして兵庫県など。いま、組織の不正を「内部告発」する動きが相次いでいます。 しかしスローニュースでも何度もお伝えしているように、「公益通報制度」がその趣旨の通りに理解されているのかと、首をかし

新聞ではわからない疑惑の核心!「おねだり疑惑」斎藤兵庫県知事はどこで間違えたのか

兵庫県庁に長年勤め、西播磨県民局長の要職にあった渡瀬康英さんが、県組織のトップである知事の非を鳴らす内部告発に踏み切った末に、この7月7日、自死を選びました。定年退職目前の60歳でした。この顛末は、日本社会の多くの人の気持ちをざわつかせています。 「内部告発の対象となったパワハラなど種々の疑惑もさることながら、知事の最大の過ちは、渡瀬さんの内部告発に対する前時代的なひどい仕打ちにある」と指摘するのは、ジャーナリストで上智大学教授の奥山俊宏さんです。「兵庫県の対応は公益通報者

告発文書がなぜ「公益通報」と言えるのか、「情報漏えい」とする鹿児島県警の主張をくつがえす【緊急イベントリポート④】

鹿児島県警の本田尚志・前生活安全部長(60)が内部文書を漏えいしたとして、国家公務員法違反の罪で起訴された事件をめぐり、スローニュースは緊急トークイベントを6月24日に開催しました。 登壇したのは、告発文書を受け取った札幌市のライター小笠原淳さん(55)と、警察の強制捜索を受けた福岡市のニュースサイト「HUNTER(ハンター)」代表の中願寺純則さん(64)、公益通報(内部告発)に詳しいジャーナリストで上智大教授の奥山俊宏さん、調査報道グループ「フロントラインプレス」代表の高

ネットメディアだから狙われたのか!?「この事件では、メディアの姿勢が問われている」【緊急イベントリポート③】

鹿児島県警の本田尚志・前生活安全部長(60)が内部文書を漏えいしたとして、国家公務員法違反の罪で起訴された事件をめぐり、スローニュースは緊急トークイベントを6月24日に開催しました。その内容を4回にわたってお伝えしています。 登壇したのは、告発文書を受け取った札幌市のライター小笠原淳さん(55)と、警察の強制捜索を受けた福岡市のニュースサイト「HUNTER(ハンター)」代表の中願寺純則さん(64)、公益通報(内部告発)に詳しいジャーナリストで上智大教授の奥山俊宏さん、調査報

ニュースサイト「HUNTER」事務所への鹿児島県警の捜索がなぜ憲法違反だと言えるのか、詳しく解説【緊急イベントリポート②】

鹿児島県警の本田尚志・前生活安全部長(60)が内部文書を漏えいしたとして国家公務員法違反の罪で起訴された事件をめぐり、スローニュースは緊急トークイベントを6月24日に開催しました。その内容を4回にわたってお伝えしています。 登壇したのは、警察関係者とみられる匿名の内部文書を受け取った札幌市のライター小笠原淳さん(55)と、警察の強制捜索を受けた福岡市のニュースサイト「HUNTER(ハンター)」代表の中願寺純則さん(64)、公益通報(内部告発)に詳しいジャーナリストで上智大教

鹿児島県警が報道機関にガサ入れする異例の暴挙、現場で何が起きていたのかを全て語る【緊急イベントリポート①】

鹿児島県警の本田尚志・前生活安全部長(60)が内部文書を漏えいしたとして、国家公務員法違反の罪で起訴された事件をめぐり、スローニュースは緊急トークイベントを6月24日に開催しました。その様子を4回にわたってお伝えします。 登壇したのは、告発文書を受け取った札幌市のライター小笠原淳さん(55)と、警察の強制捜索を受けた福岡市のニュースサイト「HUNTER(ハンター)」代表の中願寺純則さん(64)、公益通報(内部告発)に詳しいジャーナリストで上智大教授の奥山俊宏さん、調査報道グ

【疑惑の県警】報道機関を強制捜査し、内部告発した取材源を特定!鹿児島県警「前代未聞の暴挙」は憲法違反だ

報道機関に警察が捜索に入って取材資料を差し押さえ、それを端緒に、報道機関の取材源を特定して逮捕する、などということは、言論の自由を保障する民主主義国では通常ありえません。社会における公共情報の流通を大きく萎縮させて、民主主義を機能しづらくすることになるのが明らかだと考えられてきたからです。実際、現憲法下で独立して以降の日本の捜査当局は、そうした手法を用いるのにこれまできわめて抑制的でした。ところが、鹿児島県警がいま、おそらく戦後日本で初めて禁を破り、それをやってのけつつありま

「内部告発があった」と会社にやってきた石川県の担当者、そして社長が打ち明けた担当者の驚くべき行為とは

企業や役所の不正が内部告発をきっかけに明らかになるケースは数多い。最近では、中古車販売の「ビッグモーター」をめぐる不正でも、従業員から損害保険の団体に内部通報があったことがわかっている。 一方で、内部告発者が不利益を被ったというニュースも社会には溢れている。勤務先の企業の不正を知ったとしても、多くの従業員は「報復」や「村八分」を恐れて沈黙するだろう。 だが、石川県に住む山川健太郎さん(仮名)は沈黙しなかった。しかし、告発状を受け取った当局が漏らしてしまうとは、夢にも思わな

内部告発を企業側に漏らした北陸農政局と石川県、なぜ「告発者を危険にさらした」のか

取材・執筆 フロントラインプレス 内部告発をしたら、社内で告発者探しが始まってしまった。なぜそんなことが起きたのか。 公益通報者(内部告発者)を守るために作られた公益通報者保護法は2004年に成立した。来年で丸20年になる。しかし、告発者を守る意識が企業や官公庁に浸透したかと言えば、全く違う。大きなニュースになることはないが、意を決して内部告発者となった者が何らかの経緯で身元を特定されてしまう“身バレ”もあちこちで起きていると思われる。 石川県の山川健太郎さん(仮名)の