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メディアの現在地

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存亡を賭けた事態に直面している伝統的メディアと、プラットフォーマーなどの新興メディア。それぞれが抱える様々な問題や、新たな取り組みについての報道をまとめています。(ジャニーズとメ…
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2024年3月の記事一覧

最近、一面でもよく見る「心を動かすエモい記事」は新聞にとって必要か?

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 その「エモい記事」いりますか 苦悩する新聞への苦言と変化への提言最近、東京工業大学准教授の西田亮介さんが「新聞にエモい記事が増えているのではないか。それは新聞の期待された役割ではないのでは」という懸念を、いろいろなところで表明しています。 その論考をまと

「未来のグランドデザインを描くのは無理」NHK経営が職員に語った衝撃発言の一部始終を明らかにする

スローニュース取材班 前回、NHKのスペシャルコンテンツと呼ばれる特設サイトの多くが一斉に更新停止となることなど、デジタル化に逆行するような指示がコンテンツ制作の現場に相次いでいることを伝えた。デジタル職員の廃止をはじめとした新たな人事制度が断行されることは、スローニュースでの報道の2日後になって職員側(組合)に示され、衝撃を持って受け止められている。 今回、新たに入手したのは、NHKの労働組合と会長が直接協議をする「中央経営協議会」の開催報告だ。職員であれば誰でも見られ

「会議はしない。企画はLINEで決める」…社員6人の小さな地方の出版社からベストセラーが連発する理由

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 明石の小さな出版社が快進撃 社員1人当たり売上高でKADOKAWAを脅かす出版不況といわれる中、新刊の重版率が7割(業界平均で1から2割)という出版社があります。兵庫県明石市にあるライツ社です。 「出したい本だけを出す」という方針で刊行点数は年6~7冊。

「地域メディアをなくしてはいけない」廃刊した地方紙の記者たちが市民とともに発信する「NEWSつくば」の挑戦

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 NEWSつくばかつて茨城県のつくば市や土浦市のエリアで展開していた日刊紙の「常陽新聞」は、経営悪化で2017年3月に廃刊しました。 しかし、「地域からメディアがなくなるのを防がなくては」と、記者たちがその7か月後に立ち上げたのが、ウェブメディアの「NEW

「ドキュメンタリー」を支える新たな試みをYahoo!が開始、メディア連携や優秀作品の顕彰も

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 Yahoo!ニュース ドキュメンタリーかつてのように、オリジナルな特集記事の発信が減っていたYahoo!。それだけに、今回の取り組みは驚きでした。 Yahoo!ニュースのドキュメンタリーコーナーがリニューアルし、特設ページ「Yahoo!ニュース ドキュメ

記者80人以上に取材した臨場感あふれるドラマ『テレビ報道記者』をつくった名プロデューサーの手腕

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 『ブラッシュアップライフ』『テレビ報道記者』小田玲奈P、特別な才能と向き合う覚悟「生半可な思いではできない」これは、“女性が諦めなくてもいい時代”を目指した女性報道記者たちの、40年の物語――。 こう謳った日本テレビの開局70周年スペシャルドラマ『テレビ

「取材規制」は逆にメディアの継続的で力強い発信を招く…山梨県のケースで見えたこと

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 山梨県とメディアの戦いに出口見えず、「取材規制」への抗議に当局は〝事実誤認〟の反論まったく理解しがたいことが起きています。 まずはその前提の問題から。自民党のパーティー券収入の還流・裏金化事件に関連して、二階派でもある山梨県の長崎幸太郎知事が派閥から受領

【スクープ第2弾】『ひとりの天才』などいらない!職員もまだ知らないNHK「アンチ・ジョブ型新人事制度」の問題部分

スローニュース取材班 前回、NHKがデジタルコンテンツの大半を早期に終了させ、「デジタル職員」も廃止することを伝えたが、入手した「新人事制度」の資料には、職員たちを不安にさせている、ある大幅な改定が記載されていた。緊急特集『NHKデジタル大逆行』#2では、その内容を明らかにする。 第1回の記事配信後にNHKから来た回答スローニュースでは、今回の緊急特集にあたり、事前にNHKに質問を出していた。昨日の1回目の記事配信後、夜になって回答が来たので、以下に全文を掲載する。 お

【内部文書入手】3月サイト一斉終了、デジタル職員を廃止!新聞協会に屈したNHK『デジタル化大撤退』

スローニュース取材班 公共放送からデジタル時代にあわせて公共メディアへの進化を遂げようとしてきたNHK。しかしこうしたコンテンツが一気に読めなくなろうとしている。 3月1日、NHKにインターネット業務を義務づける放送法改正案が閣議決定された。放送とネットでの配信内容は「同一」のものとなる。これにより、デジタル上で展開してきたコンテンツの多くは読めなくなる。 実はNHK内では先月からこれを見越したような動きが急加速していた。「スペシャルコンテンツは段階的にではなく、3月末