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広島の警察で「カラ出張」

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広島県福山市内の警察署で2019年から2020年にかけ、組織の指示によるカラ出張が何度も繰り返され、実態のない“出張”に対する旅費や時間外手当などが公金から支出されていた疑いがあ… もっと読む
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元警察官による“見えない組織”公安警察の告発、会見ノーカット動画と記者への回答を詳しく

広島県警の不正経理疑惑で、内部告発した元巡査部長(40代)が初めてメディアの前に姿を現し、自らが経験したカラ出張の実態や告発に至る経緯を語りました。 具体的に経理をどのようにしていたのかなど、記者の質問に答えた内容をより詳しくお伝えするほか、会見のノーカット動画、それに配布された資料もこちらで公開しています。

「警察官が違法行為をやったらおしまいじゃね」娘にそう言われた私は、警察を退職する決断をした

引き締まった体にダークスーツ。小柄で生真面目さを漂わせる40代の男性が、顔を紅潮させながら、親指で目頭をぬぐい、声を詰まらせていた。 「警察官が違法行為をやったらおしまいじゃね、と娘に言われて……やめて責任を取れと、ちゃんとこれを公にしなさいと言われた時に……これからの組織、後輩のことを考えると、同じ目に遭わせたくない……」 子どものころからの夢だった警察官を辞めよう。自分自身も逮捕されてしまうかもしれないが、覚悟の上だ。 警察の、しかも警備公安という“外から見えない組

独占告白!「私は罪を償いたいのです」内部告発した警察官が「カラ出張の手口」をすべて語った

取材・執筆 フロントラインプレス 広島県の警察署で繰り返されていたという「カラ出張」の問題。内部告発した元巡査部長(40代)は、いま何を思うのか。 今月30日に行われる広島県情報公開・個人情報審査会を前に、カラ出張の実態や告発に至る経緯、その後の出来事など、自らが知る全てをフロントラインプレスの取材に語った。 その内容を一問一答形式でお伝えする。 刑事に憧れたが、国直轄の警備・公安部門に元巡査部長(40代)は広島県の出身。地元の学校を出た後、警察官になった。犯罪被害者

「カラ出張」を内部告発した警察官が​​情報公開審査会で「公開証言」

取材・執筆 フロントラインプレス カラ出張を何度も命じられ、不正に現金を受け取っていたという広島県の警察官が、ついに公の場に現れる。 今月30日に開かれる広島県情報公開・個人情報審査会で、「意見陳述」を行うことになったのだ。 この元巡査部長の男性(40代)は在職中、広島県警監察官室に「上長に命じられてカラ出張を繰り替えていた」と内部告発(公益通報)していたが、県警側は長く放置し、内部調査も事件捜査も進んでいない。 カラ出張には上長も関与しているとされ、他の警察署でも同

【スクープ】「国費捜査費」にメスは入るか…元警察官が公の場での意見陳述求める

取材・執筆 フロントラインプレス 広島県警の警察署でカラ出張が行われていたとされる問題で、上席にカラ出張を命じられていたとする元警察官が、公の場での意見陳述を求めていることが明らかになった。 男性は福山市内の警察署警備課に勤務していた2019年から2020年にかけ(当時の階級は巡査部長)、上席の指示により少なくとも計6回、出張申請に関する虚偽書類を作成するなどして、旅費や日当を不正に受け取ったと主張している。男性は在職中に不正の事実を広島県警監察官室に申告し、犯罪の自首に

【スクープ】広島県警に無視された外部からの「通報」 放置された「自首」

取材・執筆 フロントラインプレス 広島県福山市内の警察署警備課で繰り返されていたという「カラ出張」。上席の指示に逆らえず、虚偽の出張願などを作成していた警備課の巡査部長は、在職中に一連の事実を県警に伝え、最後には監察官室に公益通報(内部告発)した。 巡査部長はカラ出張の当事者であり、県警に事実を伝える行為は犯罪の申告「自首」に等しい。ところが、監察の調査や犯罪の捜査は遅々として進まず、事実上、放置状態だった。 元巡査部長が県警の監察官に語った不正の内容とは巡査部長は20

【スクープ】広島県警に送られた「カラ出張」の告発メール、その内容とは

取材・執筆 フロントラインプレス 広島県福山市内にある警察署の警備課でカラ出張が繰り返されていた疑いが浮上している。2019〜2020年にかけてのことだ。調査報道グループ「フロントラインプレス」はこの疑惑について計4本の記事でその経緯や不正の手口などを報じてきた。 上席の指示で「カラ」を続けた警察官の1人(巡査部長)はその後、2022年3月になって広島県警本部に公益通報(内部告発)した。ところが、県警本部は法令に定められた受理の通知も出さず、“告発”はごく最近まで放置され

“国直轄”である公安警察の不正経理は「未解明」 それが意味するものとは【広島県警「カラ出張」解説】

取材・執筆 フロントラインプレス 2019年から2020年にかけて広島県警の福山市内の警察署でカラ出張が繰り返されていたとされる問題。フロントラインプレスによる先行報道の後、地元の中国新聞や広島テレビが報道し、反響はさらに広がりつつある。広島県警のカラ出張問題は何を投げ掛けているのか。「公安、国費。ここが今回のキーでしょう」と語るのは、東京の清水勉弁護士だ。  「警備・公安の不正経理システムは過去にも明らかにされていない」清水弁護士は、広島県警の不正を公益通報した警察官(

【スクープ】「監察が投書の内容を教えてくれた」 警察“カラ出張”への箝口令はどのように

取材・執筆 フロントラインプレス 【広島県警「カラ出張」④】 広島県福山市の警察署で繰り返されていたとされる「カラ出張」。2019年〜2020年にかけて、その渦の中にあり、上席の指示で「カラ」を続けた巡査部長は「このままでいいのか」と深く悩んだという。自分や同僚らの行為は詐欺や虚偽公文書作成などの罪に該当しかねないのに、上席らに具申しても事態は一向に改善されなかったからだ。警察官としての良心と、「黙ってろ」という上席らの“圧力”。その狭間で苦しみ続けた。 巡査部長は、最終

【スクープ】過去にも露見しかけた警察の「カラ出張」 どうやって握り潰したか

取材・執筆 フロントラインプレス 【広島県警「カラ出張」③】 2019年から2020年にかけ、広島県福山市の警察署でカラ出張が繰り返されていた疑いが浮上した。上席の指示で虚偽書類を作成し、「カラ」を続けた警察官の1人(巡査部長)はその後、良心の呵責に耐えかね、広島県警本部に公益通報(内部告発)した。2022年3月のことだ。ところが、県警本部は法令に定められた受理の通知も出さず、“告発”はごく最近まで放置されたままだった。 いったい、何が起きていたのか。 関係書類や巡査部

【スクープ】警察内部で「エアー」と呼ばれた“カラ出張”の方法を明らかにする

取材・執筆 フロントラインプレス 【広島県警「カラ出張」②】 2019年から2020年にかけ、広島県福山市内の警察署で繰り返されたとされるカラ出張。一連の不正は、どのような形で実行されていたのだろうか。調査報道グループ「フロントラインプレス」が入手した関係者の証言や書類、メールの写しなどを分析していくと、その詳細が見えてくる。 架空の「旅費」口座振り込みの実態舞台となった警察署の警備課では普段、過激派など監視対象の情報を収集し、動向を注視することが主な任務だった。捜査には

【スクープ】広島の警察で“カラ出張”の疑い 県警は内部告発を最近まで放置か

取材・執筆 フロントラインプレス 【広島県警「カラ出張」①】 広島県福山市内の警察署で2019年から2020年にかけ、組織の指示によるカラ出張が何度も繰り返され、実態のない“出張”に対する旅費や時間外手当などが公金から支出されていた疑いがあることが、調査報道グループ「フロントラインプレス」の取材でわかった。こうした行為は以前から長期間、組織内で行われていた疑いもある。 フロントラインプレスの取材によると、カラ出張を指示された警察官の1人は、2021年ごろに広島県警内部でこ