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【スクープ】警察庁官房長が事実と異なる国会答弁か…広島県警「隠蔽工作」の証拠録音を入手、その内容とは

【10秒要点チェック】

  • 広島県警の不正経理事件をめぐり、警察庁長官官房長の国会答弁が事実と異なる疑いが浮上

  • 最初の匿名の内部告発をめぐる経緯について、広島県警は隠蔽工作をしていたため警察庁に報告していないのでは?

  • フロントラインプレスは口封じの様子が克明に記録された複数の録音を入手。決定的な証拠を明らかにする

フロントラインプレス


警察庁官房長の国会答弁がおかしい

フロントラインプレスが昨年から報じてきた広島県警の福山北警察署警備課の公金詐取事件(カラ出張)が先ごろ、参議院の質疑で取り上げられ、答弁に立った太刀川浩一・警察庁長官官房長が事実と異なる答弁をしていた疑いが浮上した。それを裏付ける録音をフロントラインプレスは入手した。

この事件は福山北警察署の警備課長による指示で課員らがカラ出張を繰り返したとされるもので、2023年8月に発覚した。同12月には警備課長ら3人が懲戒処分を受けるとともに詐欺と虚偽公文書作成・同行使の容疑で広島地検に書類送検。その後、全員不起訴処分となり、課長は依願退職して一件落着したと見られていた。

福山北警察署(2023年11月 撮影:スローニュース)

問題の質疑があったのは、5月16日午後の参議院内閣委員会。

広島県警はこれまで、カラ出張発覚の経緯について、同警備課に勤務していた巡査部長・粟根康智氏(現在は退職)が在職中の2022年3月に行った内部告発(公益通報)によるものとし、「その1年前に県警本部の監察官室に匿名の投書があり、内部で不正経理が露呈した。しかし監察官はカラ出張を指示していた警備課長に投書を見せたため、課長が課員の口封じに動いた」という粟根氏の主張を真っ向から否定していた。

参議院内閣委員会では、この経緯が取り上げられ、井上哲士氏(共産)が「投書」はどう取り扱われたのかを質問した。投書が届いていたのであれば、監察官室は本来、警備課長を調査・捜査の対象とし、事案の全容を解明しなければならない立場にあるが、仮に「課長に見せた」が事実であれば、監察官ぐるみで事件の隠蔽を図ったことにもなりかねないからだ。

質問する井上哲士氏(参議院インターネット審議中継より)

井上氏の質問に対し、答弁に立った太刀川浩一・警察庁長官官房長は「これまでの本件に関する広島県警の調査の結果、ご指摘のような文書を対象者(警備課長)に見せたというような事実は確認できなかったとの報告を受けている」と言及。投書を見せた事実はないと明言した。

太刀川浩一・警察庁長官官房長(参議院インターネット審議中継より)

しかし、それは本当に事実なのだろうか。

フロントラインプレスは5月28日までに、警備課長による当時の口封じの様子や監察官の対応などを記録した複数の録音(音源)を入手した。その1つには、当時、警備課長が監察官に投書を見せてもらったと明言したうえで、課員に口封じを重ねていたなどと語る様子がそのまま記録されている。

広島県警は「投書」をめぐる状況を詳しく把握しながら、警察庁に報告していなかった可能性がある。

事件を振り返ると…

フロントラインプレスが入手した録音は複数で、警察関係者から提供を受けた。録音の総時間は約5時間30分。一連のカラ出張を内部告発した粟根氏はフロントラインプレスによる録音内容の確認要請を拒んでいるが、フロントラインプレスは関係資料などとの照合を続け、本物に間違いないと判断した。音源が入った記録媒体はフロントラインプレスの顧問弁護士が保管している。

録音に何が記録されていたかを記す前に、事件の経緯を振り返っておこう。

警察庁の太刀川・官房長は国会答弁のなかで、匿名の投書が実際にあったかどうかについては明言を避けつつ、以下の2点については「事実は確認できなかったとの報告を受けている」として否定した。

① 匿名の投書を監察官がカラ出張の指示役とされる警備課長に見せたこと

② 警備課長はそれに基づいて課内で口封じを図ったこと

フロントラインプレスが入手した複数の音源はこの答弁を覆すものだ。

このうち、2021年2月19日のものと思われる録音には、カラ出張を指示していた福山北署の警備課長(当時)が部下だった粟根氏と面談した際のやりとりが残されている。

ここからは会員限定です。フロントラインプレスが入手した録音の内容とは。(以下、録音内容の引用については、個人名などが特定できる情報は一部表現を変えたり、削除したりしています)

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