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「災害前線報道ハンドブック」と災害関連リポート

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大災害は突然にやってきます。その時、何を取材するべきでしょうか。記者たちに的確な指示が出せるでしょうか。ありそうで存在していなかった「災害時の取材マニュアル」ジャーナリストのプレ…
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#日本経済新聞

災害前線報道ハンドブック【第3章】検証フェイズ⑧避難行動を検証する

スローニュース 熊田安伸 第3章「検証フェイズ」の最後は、発災時の「避難行動」の検証です。証言を集める方法と、テクノロジーを使う方法。それぞれ報道の実例とともに紹介します。 避難行動は適切におこなわれていたのか大災害での避難行動の検証は、非常に重要です。東日本大震災で特に大きな被害が出た宮城県石巻市の大川小学校や、岩手県釜石市の鵜住居地区防災センターについては、当時のいきさつを自治体や各メディアが詳しく検証してきました。 そもそもの避難計画や防災計画が適切だったかどうか

【東日本大震災13年】メディアはどのように伝えているか、注目のコンテンツを紹介・前編

あの日から13年、ことしも3月11日がやってきました。 年月の経過とともに伝えるべきことは変化し、メディアも何をどう発信すべきかを模索しています。一方で、「伝えることができない類の悲しみ」(ルポライター・三浦英之氏)にも、変わらず向き合っていかなければなりません。 13年目の報道で、注目したものをまとめました。 スローニュース 熊田安伸 被災者の実情を伝える調査報道など被災した中小企業を救うために創設されたのが「グループ補助金」です。その名の通り、企業がグループで再建

津波が迫るなか、人々はどう動いたか。人流データで避難行動を可視化した日経【能登半島地震コンテンツ⑧】

スローニュース 熊田安伸 元日に発生した「令和6年能登半島地震」に関するコンテンツ。「サービス・ジャーナリズム」「公共性」「可視化」などの観点から、メディアなどの発信で注目したものを、これまで7回にわたって取り上げました。 ビジュアル表現といえば、近年、際立ったコンテンツを発信してきたのが日本経済新聞。今回の震災をめぐっては、当初は目立ったものがなかったのですが、ここにきて一気に発信してきました。 漁港の「陸地化」を可視化、600枚の写真で3Dモデルも今回の特徴的な被害

災害前線報道ハンドブック【第3章】検証フェイズ④オープンデータで危険な場所を検証する

スローニュース 熊田安伸 津波の浸水域や土砂災害の危険区域など、いざ発災した時に危険な場所を示した「ハザードマップ」。これを使うことによって、「避難弱者である高齢者や子どもがいる施設が危険な場所にある」などが浮き彫りになってきます。今回は災害「前線」ではありませんが、未来の「前線」になる場所を事前に検証した報道の実例をご紹介します。 ハザードマップ、実は未完成洪水や土砂崩れ、津波などが発生した場合、被害が出る場所はどこか。それを地図で示したのが「ハザードマップ」です。まず

関東大震災から100年 防災は?歴史の教訓は?メディア発信のコンテンツまとめ

9月1日は関東大震災の発生から100年でした。メディア各社とも当日や前後に、防災の検証や呼び掛けのためのコンテンツや、歴史を掘り起こした記事を発信しています。 そこで今日の必読は特別編、各社の注目の発信をまとめました。 「虐殺」の教訓は関東大震災が発生した際、流言が引き金となって朝鮮人などの虐殺が起きました。NHKのクローズアップ現代では、ことし存在が明らかになった小学生の作文集の生々しい目撃談や、虐殺を間近で目撃した人の証言音声を発掘して報道。映画『福田村事件』の監督を