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「災害前線報道ハンドブック」と災害関連リポート

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大災害は突然にやってきます。その時、何を取材するべきでしょうか。記者たちに的確な指示が出せるでしょうか。ありそうで存在していなかった「災害時の取材マニュアル」ジャーナリストのプレ…
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#ボランティア

【フォトルポ】そこには今も言葉を失う景色があった…何も知らない自分が情けなくて、何度も立ち尽くした

「現地で食事をとれないと思うので、今日明日の食糧を調達しましょう」 その言葉に、はっとさせられた。 そうだ、半年たったとはいえ、被災地に向かうのだ。輪島や珠洲では、まだ水もままならない場所もあり、コンビニだって、食堂だって、ほとんど営業再開できていない。自分たちの食糧ぐらい調達していかないと。現地で迷惑をかけてしまうことにだってなりかねない。 そこまで思いがいたらなかった。自分の想像力のなさを恥じた――。 たったの1泊2日で撮った写真は数百枚にのぼった。なぜ撮ったのか、

避難所暮らしで気づいた「寄り添う」より「役割を与える」ことの大切さ。カタリバはなぜ「居場所」を作るのか

能登半島地震で、被災した子ども一人ひとりのニーズに合わせて支援の品を送り届ける「MY Boxプロジェクト」という取り組みを実現したNPO法人「カタリバ」。国や自治体でもできていなかった取り組みだ。 カタリバの主要な活動の一つが、「子どもの居場所を作ること」。今回はその活動の意義と、原点となった「被災地での気づき」について、代表の今村久美さんに聞いた。(2回連載その2) 聞き手:スローニュース 熊田安伸 被災地に子どもの「居場所」をカタリバは能登半島地震の発災後、1月3日

【ルポ能登半島地震】「ボランティアには本当に助かった」復旧進まぬ新潟「忘れられた被災地」からの報告

スローニュース 熊田安伸 その地区に足を踏み入れた瞬間、ぐらっと景色全体が歪んでいるように見えた。 道路には、いまも液状化で噴き出した土砂のあとが残っている。滑っている場所も残ってはいるが、歩くと乾いた土埃が舞い上がる。地震の発生から1カ月以上たったというのに、大きく傾いた電柱もそこかしこに見られる。 写真でも一見わかりにくいのだが、家々の塀はことごとく大きく傾いている。いまにも塀が内側に倒れ込みそうなこの家は、玄関に板が打ち付けられている。 まるで遠近法の描画を間違

災害前線報道ハンドブック【第2章】避難フェイズ③なぜ支援の手が届かないのか…進化するボランティアにも注目

スローニュース 熊田安伸 避難所で取材していると、支援の手が届いていないことをつくづく感じると思います。災害が起きるたびに問題になっているのに、どうして毎回のように「ニーズのミスマッチ」が起きてしまうのか。今回はその実例と、取材する際の注目ポイントについて述べます。 支援が届かない3つの原因これまでの取材の実感でいうと、支援が届かない理由はおおよそ、この3つが原因になっています。 ① 当初の計画どおりに支援ができなくなる状況の発生 ② 本当に支援が必要な相手を見つけられ