マガジンのカバー画像

「災害前線報道ハンドブック」と災害関連リポート

59
大災害は突然にやってきます。その時、何を取材するべきでしょうか。記者たちに的確な指示が出せるでしょうか。ありそうで存在していなかった「災害時の取材マニュアル」ジャーナリストのプレ…
運営しているクリエイター

2024年1月の記事一覧

被災地で求められている支援は何かを把握し、ミスマッチを起こさない方法はあるか【能登半島地震コンテンツ⑤】

スローニュース 熊田安伸 元日に発生した「令和6年能登半島地震」に関するコンテンツ。「サービス・ジャーナリズム」「公共性」「可視化」などの観点から、メディアなどの発信で注目したものを、これまで4回にわたって取り上げました。 今回は「初期の被災地支援」に関わるものを中心に、注目したコンテンツをまとめ、課題を探りました。 飲料水はいらなかった!?やはり起きてしまった「被災地とのミスマッチ」神戸市の公式noteに、興味深い記事がありました。「『神戸の経験は役立たない』の真意」

道路復旧からネット接続、酒蔵の被災まで、能登半島地震の可視化コンテンツ最新事情まとめ

スローニュース 熊田安伸 元日に発生した「令和6年能登半島地震」に関するコンテンツ。発災1週間ほどのタイミングで、「サービス・ジャーナリズム」「公共性」「可視化」などの観点から、メディアなどの発信で注目したものを3回にわたって取り上げました。 その後、新たなコンテンツや取り組みも増えてきたので、今回も注目したものをまとめて紹介し、発信の課題を考えてみようと思います。 道路の復旧はどこまで進んだか、ようやく本家が「見える化」前の記事では、自治体や企業、NPOの取り組みで、

災害前線報道ハンドブック【第3章】検証フェイズ③大川小の悲劇はなぜ「人災」といえるのか

スローニュース 熊田安伸 いざという時にどう逃げるのか、事前に避難の手順を決めておく「避難マニュアル」は様々なレベルで存在しています。前々回、「防災計画」を調べることについて述べましたが、その一部になっているケースも。「避難計画」も検証すべきもので、調査報道によって問題を明らかにした事例をご紹介します。 大川小学校は、そもそも「避難マニュアル」に問題があった児童74人、教職員10人が津波の犠牲となった宮城県石巻市の大川小学校。東日本大震災で「悲劇の小学校」と言われた場所で

【阪神・淡路大震災から29年】本社ビルも全壊した神戸新聞が被災直後に掲載した『神戸は亡びない』という叫び

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 陳舜臣さん、阪神・淡路8日後に寄稿文「神戸よ」 どん底の被災地に一筋の光 2月に生誕100年新聞一面で、その記事を読んだときのことを、いまでも覚えています。 1995年1月17日早朝に阪神・淡路大震災が発災をしてから、まもなく29年が経とうとしています。

能登半島地震の発生から10日までのメディアの報道はどうだったのか、「克服するべき」課題を振り返る

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 発生から10日:能登半島地震報道を振り返りメディアの課題を考える(前編:テレビの速報を検証する)能登半島地震に関するメディアなどのコンテンツ、先週、スローニュースでも3回にわたってご紹介しました。 一方、こちらは武蔵大学の教授でジャーナリストの奥村信幸さ

NHK「まだ公共もデジタルも諦めていない!」と突貫作業で能登半島地震マップを発信、一方のYahoo!は更に「通行止め」情報を重ねてきた

スローニュース 熊田安伸 元日に発生した「令和6年能登半島地震」に関するコンテンツ。「サービス・ジャーナリズム」「公共性」「可視化」などの観点から、メディアなどの発信で注目したものをおとといから取り上げています。昨日は、『能登半島地震で進化したYahoo!「災害マップ」と存在感ないNHK「電子地図」はなぜこんなに差がついたか』と題して発信しました。 この記事に刺激されたようで、なんとNHKが徹夜の突貫作業で「能登半島地震 避難所・給水所マップ」を作成し、今朝、ローンチして

能登半島地震で進化したYahoo!「災害マップ」と存在感ないNHK「電子地図」はなぜこんなに差がついたか

スローニュース 熊田安伸 元日に発生した「令和6年能登半島地震」に関するコンテンツ。「サービス・ジャーナリズム」「公共性」「可視化」などの観点から、メディアなどの発信で注目したものを前回取り上げました。 その後、各社に取材したり、メッセージをもらったりしたところ、非常に興味深い現象が起きていることが分かったので、今回、続編として取り上げます。 Yahoo!「災害マップ」は当初こんな使い方を想定していなかった!地図上に避難所の位置や、給水所の場所などが表示され、被災者にと

Yahoo!の「災害マップ」は「命を救う公共メディア」に育つ可能性を示したか~能登半島地震でのコンテンツ表現は

スローニュース 熊田安伸 元日に発生した「令和6年能登半島地震」。いまだ被害の全容がわからず、安否が不明な方が大勢います。一刻も早い救助と、避難している人たちへの支援が必要です。 そこで今回は、メディア各社をはじめとしたこの地震に関するコンテンツの中から、「サービス・ジャーナリズム」「公共性」「可視化」などの観点から、特に目を引いたものを取り上げてみたいと思います。 「みんなで作る防災情報 災害マップ」がもたらすかもしれない新たな「公共」Yahoo!が発信した「災害マッ

災害前線報道ハンドブック【第3章】検証フェイズ②命を守る情報がなぜ伝わらないのか

スローニュース 熊田安伸 検証フェイズの第2回は、情報伝達についてです。災害の発生時、命綱となるのがまさに情報。でも、被災者に伝わらないこともよく起きています。何が問題で、取材のポイントはどこでしょうか。 防災行政無線は本当に役に立つのか自治体が住民にいちはやく避難を呼びかけるためなどに使っている重要ツールの一つが、「防災行政無線」です。屋外にあるメガホン型のスピーカーを見たことがある人も多いと思います。 ところが、いざ災害が発生した際に、「聞こえない」というケースが多