能登半島地震の発生から10日までのメディアの報道はどうだったのか、「克服するべき」課題を振り返る
あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。
きょうのおすすめはこちら。
発生から10日:能登半島地震報道を振り返りメディアの課題を考える(前編:テレビの速報を検証する)
能登半島地震に関するメディアなどのコンテンツ、先週、スローニュースでも3回にわたってご紹介しました。
一方、こちらは武蔵大学の教授でジャーナリストの奥村信幸さん。研究者としての専門的な立場から、発災から10日までの時点での各社の発信を振り返っています。
まずは速報の在り方がどうだったのか。テレビは相応の役割を果たしたと評価しつつも、「NHKと民放の差は大きく開いてしまったと言わざるを得ません」としています。速報への入り方やアナウンサーのスキルなどに加え、現場での体制構築や、日ごろの訓練のことなどを指摘。大津波警報が出ているからとはいえ、なぜあそこで緊急地震速報に対応できないのかと、元テレビディレクターで内情を知っているからこその視点で評価しています。
発生から10日:能登半島地震報道を振り返りメディアの課題を考える(後編:デジタルで「寄り添う」とは)
後編では、テレビとデジタルでの演出面からチェック。災害報道の一般的なパターンを示したうえで、テレビはどのような表現で視聴者にイメージさせていくべきなのかを問うています。
さらに「役に立つ報道」とはどうあるべきかを考察し、マッピングが威力を示している実例を挙げながら、メディアそのものの役割も変わっていくのではないかということ、そして、よく言われる「寄り添う」とはどうあるべきなのかを突き詰めています。
そのなかで、災害マップの成立の経緯を取材したスローニュースの記事のことも紹介してくださいました。
奥村教授の述べる通り、メディアがいまの状況から更に進化するには、コラボレーションも重要になってくると思います。
小さなコップの中で争っている場合ではなく、命を守る報道をするためにはどうあるべきか、そういう根源的な思想から検討していってほしいですね。(熊)