マガジンのカバー画像

「災害前線報道ハンドブック」と災害関連リポート

59
大災害は突然にやってきます。その時、何を取材するべきでしょうか。記者たちに的確な指示が出せるでしょうか。ありそうで存在していなかった「災害時の取材マニュアル」ジャーナリストのプレ…
運営しているクリエイター

2023年10月の記事一覧

「山古志にたどり着くんだ!」泥まみれになり、恐怖に耐えながら記者はなぜ山道を登ったのか…19年前に見たあの日の惨状、そして最初に伝えた言葉とは

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 [新潟県中越地震19年・山古志再訪ルポ]<上>足を震わせ命がけで歩いた「あの道」 余震、土砂崩れ…激震に孤立したムラ、よみがえる惨状の記憶突然の、経験したことがない激しい揺れ。最も揺れが大きかった場所から80キロ以上離れた新潟市のオフィスにいるのに、まるで

災害前線報道ハンドブック【第2章】避難フェイズ③なぜ支援の手が届かないのか…進化するボランティアにも注目

スローニュース 熊田安伸 避難所で取材していると、支援の手が届いていないことをつくづく感じると思います。災害が起きるたびに問題になっているのに、どうして毎回のように「ニーズのミスマッチ」が起きてしまうのか。今回はその実例と、取材する際の注目ポイントについて述べます。 支援が届かない3つの原因これまでの取材の実感でいうと、支援が届かない理由はおおよそ、この3つが原因になっています。 ① 当初の計画どおりに支援ができなくなる状況の発生 ② 本当に支援が必要な相手を見つけられ

日本全国どれだけ暑くなったのか、一目でわかるコンテンツが次々誕生…今年はメディア界の「ヒートマップ元年」か

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 東京の夏は着実に「暑く・長く」なっている2018年に作られたコンテンツが、ことし再び話題になっています。それが、こちらの「東京が確実に暑くなっている」ことを可視化したヒートマップです。 作成したのは、現在はGoogleでフェローを務める荻原和樹さん。東洋

災害前線報道ハンドブック【第2章】避難フェイズ②避難所で何をどう取材するか

スローニュース 熊田安伸 今回も避難所での取材についてです。大災害であればあるほど、思わぬところが避難所になることは前回、説明しましたが、そこでどんな取材をどのように進めたのか。実例をもとに紹介します。 「原発」そのものが避難所になっていた!東日本大震災で最も「想定外」で驚くべき避難所のケースがありました。それが「原発」です。 中心市街地が津波で壊滅的な被害を受けた宮城県女川町。その高台には、東北電力の女川原子力発電所があります。津波から逃れて高台に向かった住民約360