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「災害前線報道ハンドブック」と災害関連リポート

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大災害は突然にやってきます。その時、何を取材するべきでしょうか。記者たちに的確な指示が出せるでしょうか。ありそうで存在していなかった「災害時の取材マニュアル」ジャーナリストのプレ…
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2023年9月の記事一覧

御嶽山災害から9年、いまも癒せない遺族の喪失感と噴火の恐怖を伝える動画

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、社会の制度の矛盾を突いたコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 山頂の弟よ、一緒に帰ろう 御嶽山噴火災害から9年 広島県の男性が初の慰霊登山へ 死者58人、行方不明者5人を出した2014年9月27日の御嶽山噴火災害から9年が経ちました。 この噴火で弟を無くした広島県竹原市の寄能(きのう)孝志さん(62)が

災害前線報道ハンドブック【第2章】避難フェイズ①“隠れ避難所”こそ重要

スローニュース 熊田安伸 揺れが収まったり、雨が止んだりしても、災害は終わったわけではありません。発災後、被災者は長く苦しい避難生活を強いられることになります。1人でも避難生活を続けている人がいる限り、災害は続いているのです。ここからは、避難フェイズの取材では何に注目すべきかについて述べていきます。 「指定避難所」そのものが被災する避難フェイズでの取材に入ったら、まず意識しなければならないことがあります。それは「本当に困っている被災者はどこにいるのか」ということです。災害

関東大震災から100年 防災は?歴史の教訓は?メディア発信のコンテンツまとめ

9月1日は関東大震災の発生から100年でした。メディア各社とも当日や前後に、防災の検証や呼び掛けのためのコンテンツや、歴史を掘り起こした記事を発信しています。 そこで今日の必読は特別編、各社の注目の発信をまとめました。 「虐殺」の教訓は関東大震災が発生した際、流言が引き金となって朝鮮人などの虐殺が起きました。NHKのクローズアップ現代では、ことし存在が明らかになった小学生の作文集の生々しい目撃談や、虐殺を間近で目撃した人の証言音声を発掘して報道。映画『福田村事件』の監督を

災害前線報道ハンドブック【第1章】発災フェイズ⑥テレビ局の現場リポート、それでいいの?

スローニュース 熊田安伸 今回はテレビ関係者に向けての提言的なコラムです。なので、読み飛ばしていただいて結構、ただ教訓になる話だと思ったので、書いてみました。 災害が起きると現場から記者が中継リポートをやりますよね。本当にそれ、いいんでしょうか。演出上の問題というより、もっと根本的な「記者は何をするべきか」というエピソードから考えます。 まずは私の大失敗を告白しますここで私がやらかした大失敗を一つご披露します。先にも書いた新潟県中越地震の際に、デスクとして初めて取材指揮