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【スクープ】「国費捜査費」にメスは入るか…元警察官が公の場での意見陳述求める

取材・執筆 フロントラインプレス

広島県警の警察署でカラ出張が行われていたとされる問題で、上席にカラ出張を命じられていたとする元警察官が、公の場での意見陳述を求めていることが明らかになった。

男性は福山市内の警察署警備課に勤務していた2019年から2020年にかけ(当時の階級は巡査部長)、上席の指示により少なくとも計6回、出張申請に関する虚偽書類を作成するなどして、旅費や日当を不正に受け取ったと主張している。男性は在職中に不正の事実を広島県警監察官室に申告し、犯罪の自首に相当するので調査・捜査してほしいと働きかけていたが、ごく最近まで事実上放置されていた。

この問題は8月1日に調査報道フループ「フロントラインプレス」がスローニュース上で初めて明らかにした。その後、共同通信や地元紙・中国新聞、広島県内の各テレビ局が相次いで報道。また、8月18日には広島県議会の警察・商工労働委員会でこの問題が取り上げられた。

答弁する広島県警の首席監察官 YouTube「【広島県議会】令和5年8月18日 警察・商工労働委員会」より 

県警側は「出張に関わる不正な経費の請求があったのではないかとの情報を得て、現在、調査・捜査を進めている。その結果、不正行為が判明した場合、事実関係に即し、厳正に対処する」と答弁している。

フロントラインプレスがこれまでに得た関係書類や証言などによると、カラ出張は「福山市内の警察署」以外でも行われていた可能性がある。

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情報公開「非開示」に対し元警察官が審査請求、意見陳述も求める 

意見陳述を求めている男性は、40代の元警察官(2022年3月末退職)。福山市内の警察署の警備課に勤務していた当時、上席の指示でカラ出張を行ったとして公益通報(内部告発)していた。

その後、男性は「公益通報を受け取ったという連絡がない」「県警の調査が始まらず、自浄作用が働いていない」ことなどを不審に思い、
①自らの公益通報が県警内部でどう扱われたかを示す公文書
②自らのカラ出張に関する経理書類などの公文書

を情報開示請求した。

ところが、いずれの請求も非開示とされたため、広島県情報公開・個人情報保護審査会に「非開示決定は不当」として審査請求を行っていた。

男性の審査請求に関し、審査会はすでに「非開示決定が妥当だったかどうか」の調査審議を開始している。

広島県情報公開・個人情報保護審査会設置条例の第11条によると、審査会は、審査請求人等から申立てがあったときは、当該審査請求人等に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。このため、男性は「自分はどんな思いで公益通報したか、また、県警の自浄作用に期待していたが裏切られて非常に残念だったことなどを審査会の委員の前で直接語りたい。それが真実を明るみに出す一助になれば」と考え、口頭意見陳述申立書を審査会に提出した。

条例の規定に従えば、審査会は男性に意見を述べる機会を与えることになるはずだ。しかし、同条例第11条の但し書きによれば、審査会が「その必要はないと認めるとき」、すなわち、“無駄な意見”を聴く必要がないと判断した場合は、陳述の機会を設けなくともよいことになっている。審査会の担当委員はいずれも広島県内の大学教員や弁護士たちだが、「カラ出張を命じられた本人が意見陳述したい」という異例の申し立てをどう判断するのだろうか。

審査会は近く、意見陳述の機会を与えるかどうかも含めて結論を出し、男性側に伝える見通しだ。

ここから先は有料会員限定です。口頭意見陳述申立書では、男性および代理人の清水勉弁護士がそれぞれ、「主張したいことの概要」を記しています。その内容を詳しくお伝えします。

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