本来禁止の企業献金が沖縄の自民議員の選挙資金に化けるカラクリはこれだ!7割が政党支部から出ている議員も
【10秒要点チェック】
本来、別の法律で規制されている「選挙資金」と「政治資金」の区分けがあいまいになっている
沖縄5議員が代表の自民支部への企業・業界団体献金は、87%が選挙期間に集中していた
選挙資金の7割が、企業献金を受けた自民支部からの寄付という議員も。5議員の詳細データを掲載
取材・執筆 フロントラインプレス
【前回のおさらい】
企業が政治家本人と政治団体に寄付することは法律で禁じられている。では企業のカネはどのような形で自民党側に流れ込んでいるのか。
沖縄の国会議員5人を対象とした独自調査では、2011年〜2021年の11年間に企業から2億2735万円、業界団体をバックにした政治団体から8455万円、総額で3億1190万円ものカネが政治資金として各人の政党支部(代表は議員本人)に寄付されていたことが判明した。これは前回の記事で報告した通りだ。
こうしたカネは毎年、ほぼ同額が平均的に議員側に届くわけではない。1000万円を超す年もあれば、ゼロの年もある。選挙の年を狙って企業側がカネを議員側に寄付しているからだ。企業からのカネは選挙のあった「年」どころか、選挙の投票日を目指すかのように告示の数日前から十数日前といったピンポイントで議員側に投下されている。
フロントラインプレスが政治資金収支報告書や官公庁の公開資料を使って調べたところ、企業から議員側への寄付のうち、約8割は「投票日の1カ月前から投票日まで」という極めて限られた期間に集中していた。
選挙資金と政治資金のあいまいな区分け
日本では、政治活動のカネは政治資金として扱われ、政治資金規正法でさまざまな縛りが掛けられている。一方、選挙運動のカネは政治資金とは別会計の選挙資金として扱われ、公職選挙法で使途や上限が規制されている。
ところが、「選挙の時期を目掛けて企業や業界をバックにした政治団体から集中的に寄付される政治資金」は、選挙活動とは無関係の一般的な政治活動のための資金であるとは説明しにくいだろう。
こうした実態は、選挙資金と政治資金の区分けをあいまいにするだけでなく、1970年代から80年代に大問題となった「企業のお抱え選挙」「金権選挙」が今も形を変えながら温存されている証拠とも言えるのではないか。