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【スクープ】各務原市が用意していたPFAS汚染の「土壌調査」要請文、防衛省側が「土壌」の文字削除を求めた工作を明らかにする

フリーランス 諸永裕司

発がん性が指摘される有機フッ素化合物のPFAS。航空自衛隊・岐阜基地が、基地内の井戸水から目標値を超える値を検出しながら公表せず、国への報告もしていなかったことが独自の取材で判明した。

前回の記事では防衛省が記者会見に潜入しようとするなど、異様なまでに警戒をしていたことや、PFAS濃度ごとの分布図が握り潰された実態を明らかにしたが、それだけではなかった。汚染の原因を明らかにするために市が求めた「基地内での土壌調査」を封じ込めようとしていたのだ。

各務原市への情報開示請求によって、その証拠メールを入手した。


市の土壌調査を封じ込めようとする防衛省

各務原市で地下水を由来とする飲み水の汚染が発覚した後の昨年9月、浅野健司市長は汚染原因の調査などについて市議会で問われ、こう答えた。

「(水質調査によって)岐阜基地を含め市内全域における当該物質の汚染状況が明らかになります。そのうえで、岐阜基地周辺の汚染が懸念される場合は、今後基地内の土壌調査等について防衛省に要望してまいります」

各務原市の三井水源地(撮影:諸永裕司)

岐阜県の古田肇知事も、県議会でこう答弁している。
「必要があれば市と連携し、国に対する基地内での土壌調査の要請についても検討する」

それから約3週間がすぎた10月23日、岐阜基地を管轄する防衛省東海防衛支局は、知事発言の意図について、岐阜県の担当者から聞いたとする内容を各務原市にメールで伝えている。

  • 知事発言は(略)最終的には土壌調査までも見据えるというニュアンス

  • 土壌調査について、県において検討段階にもなく白紙

(※注:太字はメールの内容。以下同じ)

知事は、すぐに調査を要請するわけではないのだと東海防衛支局は説明した。
それを伝えた翌日、今度は市の意向を尋ねている。

「井戸調査が終了した段階で、次の調査(土壌調査or原因地特定のための調査)に移る」とお聞きしていましたが、市として(略)地質調査は既定路線という認識でよろしいでしょうか?

ここから先は会員限定です。市の要請文の文言を防衛省がどのように封じ込めていったのか、入手した内部資料から明らかにします。

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