【証拠メールを公開】記者会見「潜入」を画策した防衛省と封印された『各務原市PFAS汚染マップ』
フリーランス 諸永裕司
飲み水から発がん性が指摘される有機フッ素化合物のPFOS・PFOAが高濃度で検出された岐阜県各務原市。数値を公表しなかった市の水道部長ら7人が昨年12月に処分を受けている。
前回は、その汚染源と疑われる航空自衛隊・岐阜基地でも、基地内の井戸水から目標値を超えるPFASが検出されながら公表せず、国への報告もしていなかったことを独自取材で伝えた。
今回入手した防衛省と市との間で交わされたメールによって、基地内で水質検査が行われて以来、防衛省が記者会見に潜入しようとするなど、異様なまでに警戒していたことが明らかになった。
さらにPFASの濃度分布を示した汚染地図の公表を止められていたことも発覚した。
検査時期は「メディアに明かすな」との岐阜県の意向伝えるメールを入手
PFAS汚染が発覚した直後から、岐阜県各務原市は汚染がどこまで広がっているかを確かめる調査に取りかかった。
一刻も早く原因を突き止めようとする市に対し、さまざまな情報を「隠蔽」したい防衛省側から、横やりが入るようになる。
各務原市が開示した記録から、その経緯をたどる。
昨年8月、高濃度が検出された三井水源地から半径500メートルにある井戸を調べたところ、44カ所のうち13カ所で国の定める目標値(PFOSとPFOAの合計で50ナノグラム)を超えていた。その大半は自衛隊基地のすぐ西側にあり、最大で450ナノグラムだった。
一帯の地下水は基地のある東から、水源地のある西へと流れている。
市はさらに、市内全域の95ヶ所で水質調査を行うことにした。基地内にある2カ所の井戸(専用水道)も対象となった。
採水を終えた6日後の9月7日、岐阜基地を所管する防衛省東海防衛支局から市の環境室長にメールが届いた。基地内で採水したことをメディアなどから問われた場合の対応についてたずねるものだった。