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PFAS高濃度を従業員血液から検出の清水工場「今後のヒアリングも検討」静岡市長

フリーランス 諸永裕司

静岡県にある化学メーカーの工場で従業員の血液からきわめて高いPFOAが検出されていた問題で、静岡市は「2010年以前にもPFOAを使っていたことを確認した」としたうえで、さらなるヒアリングをするか検討する意向を示した。また、工場内の地下水からも非常に高い濃度のPFOAが検出されていたことに関連して、工場前の水路や市内の河川で水質調査することを明らかにした。

水質調査は実施へ 立入検査は「国と情報交換して方向性を」

静岡市の難波喬司市長は13日、清水区にある化学工場で使われていたPFOA(ペルフルオロオクタン酸)による汚染について、2010年以前にも使用していたことを確認したとしたうえで、記者団に「今後、工場にヒアリングをするか検討したい」と話した。

清水工場はかつて「三井・デュポンフロロケミカル」(現「三井・ケマーズフロロプロダクツ」)が操業していた。

米大手化学メーカーで、50パーセント出資するデュポン社の内部文書によると、清水工場の労働者の血液検査が1981年から行われていた。2000年から2010年に行われた4回の結果は、被験者のPFOA血中濃度を低いほうから順に並べたときに真ん中にくる「中央値」が1670〜3000ナノグラム(血漿1ミリリットル)。個人別の最大値は8370ナノグラムで、全米アカデミーが「健康への影響が懸念される」とする20ナノグラムを当てはめると418倍にあたる。

また、工場の敷地内では、2002年に「FC-143」というPFOA化合物が敷地内の井戸9カ所から最大で154万ナノグラム、現在の国の指針値の3万倍を超える濃度で検出されていた。

難波市長は記者団の取材に対し、工場への立ち入り検査について「行政の裁量内ではないと思うので、国とも情報交換をして方向性を決める」と話し、市民や従業員に対する(健康調査などの)対応は現時点では考えていない、とした。

工場へのヒアリングが実施されれば、これまで手付かずだった職業曝露の実態解明への一歩となる。

一方で、難波市長は工場前の水路のほか、市内5カ所の川でも水質検査を行うと説明した。そのうえで「仮に工場の中やその周辺で検出されたとしても(飲み)水には出ていないので、(一般の市民に)健康被害は生じていない」と話した。また、地下水の調査にも近く取り組む意向を示した。

現在配信中の「スローニュース」では、デュポンの内部資料の入手経緯と、その内容をもとに、2000年から密かに行われていた清水工場従業員の血液検査について、具体的な数値を明らかにしている。それは世界各国の工場と比較しても、きわめて高いものだった。


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