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採用者の女性比率ナンバー1は西日本新聞、最下位は?データから見るメディアの職場環境①

スローニュース 熊田安伸

このところ、メディアをめぐる環境は厳しくなっていると言われていますよね。若い人が転職するケースも増え、オールドタイプの経営層は頭を抱えているとか。果たして、働きやすい環境はできているのでしょうか。プロジェクト「オープンデータウオッチ」。今回は取り上げるのは、メディア各社の「働き方」に関するデータです。

調査の対象にしたのは、全国紙と地方紙、それに通信社と在京テレビ局の合わせて60社(うち17社はデータ非公表、11社もデータが古く、実際に比較できたのは32社)です。学生や求職者に企業の職場情報を公開するため、各企業から厚生労働省のサイトを通じて公表されているデータを分析しました。


採用する時、女性の割合が多いメディアはどこ?

正社員としてメディアに入った人のうち、女性の比率が高い企業はどこでしょうか。「採用した労働者に占める女性労働者の割合」というデータを見てみましょう。

最も高かったのは西日本新聞で、なんと100%!採用した全員が女性だったのです。先日、西日本新聞にお伺いする機会があったのですが、複数の管理職や記者が口をそろえて言っていたのは、「そもそもの採用人数が少ないのですが、確かにこのところ女性ばかりです。単純に優秀な人から採用していったら、女性になってしまったと聞いています」とのことでした。

続いて新潟日報が72.2%、埼玉新聞が66.7%と、地方紙が続きました。全国メディアでは、共同通信の55.1%が最も高くなっています。10位には50%という社が数多く並んだので割愛しました。

一方で低かったのは愛媛新聞で、女性の採用はゼロ。次いで高知新聞の19.8%、読売新聞東京本社の27.6%となっていました。読売新聞によると、実際には大阪、西部も含めた3本社で新規採用をしていて、合わせると36.3%、2023年4月は41.6%になっているとのことです。

愛媛新聞の人事担当者によると、「2024年卒の採用は男性2人です。採用者の数が少ないためで、逆に女性ばかりになった年もあります」と説明していました。採らないという方針があるわけではないようです。

では女性が幹部になっている割合は?

採用時には女性の方が多いというメディアも目立つなか、女性が管理職や役員になっている割合はどうでしょうか。

まずは管理職。在京テレビ局が上位を占めました。(ちなみにこの2局以外の在京テレビ局はデータを公開していません)続いて、地方紙から上毛新聞、全国紙の毎日新聞の順になりました。

とはいえ、どこも20%以下。採用時のことを考えると、高いとは言えない数字です。

割合が低い方には地方紙が並びました。ただ、もともとの採用数や母数のこともあるので、上位と極端に違うかどうかはこれだけでは判断できません。

では役員にまでなっている割合ではどうでしょうか。

NHKが最も高くなっていますが、NHKが示したこのデータ、経営委員会の人数も含まれているので、ちょっと反則というか……本体の理事だけだともっと減ります。割合では示してみましたが、どこもほとんど1人だけだということですね。朝日新聞は3人となっています。

ここに挙げた以外に、「ゼロ」が6社ありました。まだまだ女性がメディアの舵取りをする状況にはなっていないようです。

編集会議が男だらけという光景は、まだまだ変わらないのでしょうか。

「若手の離職率」「男性育休取得率」なども明らかにします

今回の記事では今後、こんなデータを取り上げます。

  • メディアに入って10年後、辞めずに残っている割合は?驚きの結果が

  • 有給休暇、ちゃんと取れてますか?

  • 男性の育休取得率は最も分かれて…100%のメディアと0%のメディアの差とは

  • 残業時間は…あれれ?

ご期待ください。

今回使用したオープンデータはこちらから、「実態と違う!」があればお知らせください

今回紹介したデータは、厚生労働省が運営しているオープンデータサイト、「しょくばらぼ」から引っ張りました。

いずれもメディア企業側から提出されたデータなので、信頼したいところですが、もし「この数字は全然違う」というものがありましたら、ぜひご一報ください。取材します。

取材には各社とも、本当に丁寧に対応してくださいました。改めてお礼を申し上げます。ただ、今後登場しますが、1社だけ「取材拒否」のところがありました。いま、メディアには「説明責任」が求められる時代で、信頼を勝ち得るためには不可欠だと考えます。そうしたなかで、大変残念に思いました。また、データを公開していない、あるいは一部しか公開していない社がまだ多いことも気になりました。

なお、調査対象の選定は、国立国会図書館の新聞資料室が作成したこちらの一覧に、在京民放5局とNHKを加えたものとしました。

こちらも各メディアへのブックマーク代わりに、ぜひ利用してはどうでしょうか。

現在配信中のスローニュースでは、メディア企業での若手の離職率や、有給休暇の取得率についてのデータを比較し、公開しています。