首都直下地震の対策に使われる補助金8億円が支出先不明。このまま「捨て金」になる可能性も
スローニュース 熊田安伸
プロジェクト「オープンデータウオッチ」。今回は東京都の補助金を取り上げています。
東京都が、補助金約1兆円の行き先をオープンにしていない問題をお伝えしましたが、情報公開請求(有料)をすれば開示されます。ところが、それでも東京都が支出先を明かさなかったケースがありました。
なんとそれは、首都直下地震に備えるための補助金。8億5000万円余りが誰に渡ったかが分からず、無駄になってしまうおそれも……。
東京で大地震発生!その時のための補助金
ことしは関東大震災から100年になります。いざという時のために、改めて備えはしておきたいですよね。問題の補助金はその「備え」のためのもの。「民間一時滞在施設備蓄品購入費用補助事業」と「一時滞在施設災害時拠点強靭化緊急促進事業に関する補助金」です。
要するに、首都直下地震が起きた時に帰宅困難者が出そうなので、民間の事業所にお願いして一時的に収容してほしいという事業。そのための備蓄品の購入費や、施設の強靭化のための補助をしているわけです。
これまた、どんな事業者にいくら渡しているのか、東京都はオープンにしていないので、情報公開請求で調べてみましょう。
平成28年度から令和3年度までの6年度分を入手しました。見えているところでいうと、「トヨタモビリティ東京」の名前がいくつも並んでいますね。これは同じ会社でも事業所(=一時滞在施設)ごとに支払われる補助金だからです。
トヨタモビリティは自社のホームページでも災害時にショールームを開放することを公表しています。災害が起きる前にチェックしておいきたい重要な情報ですよね。会社に取材したところ、2015年から取り組みをスタートし、現在は55の店舗で対応できるようにしたとのことです。
それはいいのですが、東京都の情報公開では、なぜか一部の事業者名が黒塗りで不開示となりました。備蓄品の方は合わせて1億9534万円余りの補助金を支払ったのべ78事業者が誰なのか分からず、強靭化の方も計6億6219万円余りを支払った27事業者が誰なのかが分かりません。
なぜ秘密にしなければならないのでしょうか。東京都が税金が原資である補助金の支出先を、情報公開請求をしても公開しなかったケースは、特殊な事情を除けばこれだけです。