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諸永裕司のPFASウオッチ

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「永遠の化学物質」として問題になっているPFAS(有機フッ素化合物)。調査報道スクープや最新の自治体や企業の動き、取材の経過などをこちらで発信していきます。(取材:諸永裕司)
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2024年3月の記事一覧

【諸永裕司のPFASウオッチ】43都道府県の200自治体にPFAS関連企業…対応が問われる経済界の「本音」

フリーランス 諸永裕司 警鐘を鳴らす「汚染マップ」この地図は、PFAS汚染がヨーロッパの約2万3千カ所に及ぶことを示している。 国境を超えた欧州の16の報道機関が共同して進める「永遠の汚染プロジェクト」が作成したものだ。EU全体とイギリスで、10ナノグラム以上のPFASが測定された約1万7000カ所を赤い点で、消火剤が使われるなどして汚染の可能性が高いところを青い点で示している。 こうした実態をふまえて、欧州化学品庁(ECHA)は昨年2月、すべてのPFASを規制する案を

【諸永裕司のPFASウオッチ】毎年50億円をかけている世界的にも貴重な大規模調査の結果が、ほとんど公表されていないのはなぜか

「永遠の化学物質」として問題になっているPFAS(有機フッ素化合物)の最新情報を伝えているジャーナリスト、諸永裕司さんの「PFASウオッチ」。前回の記事で、食品健康影響評価書(案)に欧米より遥かに大きい「許容摂取量(耐容一日摂取量)」が盛り込まれたことについて、全国からパブリックコメントが寄せられ、「パブコメ一揆」のような状況になっていることをお伝えしました。 今回は世界的にも例のない「エコチル調査」と呼ばれる調査の結果が、なぜかほとんど公表されていない実態を明らかにします

【諸永裕司のPFASウオッチ】まるで「パブコメ一揆」…食品安全委員会に全国から意見殺到

「永遠の化学物質」として問題になっているPFAS(有機フッ素化合物)の最新情報を伝えているジャーナリスト、諸永裕司さんの「PFASウオッチ」。食品安全委員会のもとに設けられた専門家会議が1月末にとりまとめた食品健康影響評価書(案)。盛り込まれたのは欧米より遥かに大きい「許容摂取量(耐容一日摂取量)」でした。それに寄せられたパブコメの内容とは。 まるで「パブコメ一揆」食品安全委員会が初めて示したPFASの「許容摂取量(耐容一日摂取量)」に対するパブリックコメントが7日に締め切

【独自】全国初の行政によるPFAS血中濃度の検査実施へ 岡山・吉備中央町が6000万円余を予算案に

フリーランス 諸永裕司 国の政策に一石を投じる決断だろう。 岡山県の吉備中央町が、国際機関から発がん性を指摘されているPFAS(有機フッ化化合物)に汚染された水を飲んでいた住民の血液検査の費用を、新年度予算案に盛り込んでいることがわかった。 3月議会に諮られる予算資料にこう記されている。 <健康影響調査業務 61,200(千円)> 町の関係者によると、汚染された飲み水によって体内にPFASを取り込んだ住民たちの血中濃度を調べ、その後の健康状態も観察していくという。血