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諸永裕司のPFASウオッチ

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「永遠の化学物質」として問題になっているPFAS(有機フッ素化合物)。調査報道スクープや最新の自治体や企業の動き、取材の経過などをこちらで発信していきます。(取材:諸永裕司)
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2024年1月の記事一覧

【内部文書入手】7万人市民の飲み水を汚した「犯人」は誰か?航空自衛隊が封印した「岐阜基地のPFAS汚染」

フリーランス 諸永裕司 岐阜県各務原市で、飲み水に発がん性が指摘される有機フッ素化合物のPFOS・PFOAが高濃度で含まれていたことが昨年、明らかになった。 市民から不安の声が上がるなか、汚染源と疑われる航空自衛隊・岐阜基地で、基地内の井戸水から目標値を超えるPFASが検出されていたことが、独自に入手した内部資料から新たに判明した。 一般には公表されておらず、求められている厚生労働省への報告も行われていなかった。 7万人が汚染された水を飲んでいた各務原市編隊を組んだ6

【Photoルポ】鈴木萌「泡の記憶」 目に見えず、味も匂いもない。その物質はなにをしたのだろうか

目に見えず、味も、匂いもない。 初めて目撃したのはテレビのニュース映像だった。 4年前の春、大きな綿菓子のような白い泡のかたまりがふわふわと川の上を流れ、風に舞っていた。 それは、航空機の火災事故が起きたときに使う泡消火剤で、沖縄の普天間基地から誤って漏れでたものだ、とアナウンサーは言った。 揺れるように流れる白い泡はどこか現実離れしていて、怖さも恐ろしさも感じさせない。 空中を舞う泡消火剤の白い泡を目にしたとき、保育園児たちは近くでよく見かける街路樹の「トックリキ

【諸永裕司のPFASウオッチ】沖縄の渇水危機の背景に基地が原因とされるPFAS汚染、このままでは飲み水の水質に影響も

「永遠の化学物質」として問題になっているPFAS(有機フッ素化合物)の最新情報を伝えているジャーナリスト、諸永裕司さんの「PFASウオッチ」。11回目の舞台は沖縄県。いま渇水が問題になっていますが、その背景にあったのは――。 沖縄のPFAS汚染を扱ったテレビドキュメンタリーの秀作がふたつある。 「命(ぬち)ぬ水(みじ)~映し出された沖縄の50年」(琉球朝日放送) そして「水(みじ)どぅ宝」(沖縄テレビ)だ。 いずれも優れた番組に送られるギャラクシー賞(2022年度)を

【諸永裕司のPFASウオッチ】飲み水の目標値、なぜ根拠となる指標を変えるのか

「永遠の化学物質」として問題になっているPFAS(有機フッ素化合物)の最新情報を伝えているジャーナリスト、諸永裕司さんの「PFASウオッチ」。新年も注目の情報をお伝えしていきます。 新しい年のはじまりに能登半島を襲った地震では、発生から10日になるいまもライフラインの確保がままならないという。支援金を送るくらいしかできないのがもどかしい。 そして、暖をとり、情報をつなぐための電気とともに、生きるための水の重要さをあらためて思い知らされている。 その飲み水に含まれるPFA