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諸永裕司のPFASウオッチ

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「永遠の化学物質」として問題になっているPFAS(有機フッ素化合物)。調査報道スクープや最新の自治体や企業の動き、取材の経過などをこちらで発信していきます。(取材:諸永裕司)
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2023年11月の記事一覧

【諸永裕司のPFASウオッチ】最も深刻な飲み水の汚染が発覚した岡山・吉備中央町は、それでも血液検査を行わないのか

「永遠の化学物質」として問題になっているPFAS(有機フッ素化合物)の最新情報を、全国を飛び回って伝えているフリージャーナリストの諸永裕司さん。「PFASウオッチ」の第5回は、岡山からのリポートです。 高い数値が出ても虚偽報告をしていた町水道水からきわめて高濃度のPFASが検出されていたことが発覚してから1カ月あまり。岡山県の真ん中に位置する吉備中央町で11月22日夜、3度目となる住民説明会が開かれた。 2020年に800ナノグラム、2021年に1200ナノグラム、202

【諸永裕司のPFASウオッチ】なぜPFAS分析検査は1人に集中するのか…「断らない男」原田浩二・京大准教授

「永遠の化学物質」として問題になっているPFAS(有機フッ素化合物)の最新情報を、フリージャーナリストの諸永裕司さんが伝える「PFASウオッチ」第4回は、いまやあらゆるメディアで見かける研究者、京都大学の原田准教授についてです。 スヌーピーが大好き京都大学医学部の正門脇に、ノーベル生理学医学賞を受けた本庶佑博士を顕彰する碑がある。このキャンパスに、PFAS汚染をめぐっていま引っ張りだこの研究者がいる。 原田浩二・京大准教授、44歳。 研究室は、大学院医学研究科の研究棟2

【諸永裕司のPFASウオッチ】なぜ前向きなイベントの取材が拒否されたのか、背景に浮かぶ経産省の「半導体政策」

「永遠の化学物質」として問題になっているPFAS(有機フッ素化合物)の最新情報を、フリージャーナリストの諸永裕司さんが伝える「PFASウオッチ」第4回は、「日本の代表的な企業がPFAS対策の最新技術を披露するイベント」が取材拒否になったことから、その背景を探りました。 PFAS対策技術の大規模イベントが「取材拒否」だった10月中旬、東京・品川で3日間にわたるイベントが開かれた。 「PFAS対策技術コンソーシアム国際講演会」 主催したのは「PFAS対策技術コンソーシアム」

【諸永裕司のPFASウオッチ】職場での深刻な体内汚染…しかし血液検査は行われてこなかった

「永遠の化学物質」として問題になっているPFAS(有機フッ素化合物)の最新情報を、フリージャーナリストの諸永裕司さんが伝える「PFASウオッチ」第3回は、職場でPFASを体内に取り込んでしまう「職業曝露」についてです。 「元従業員の血液検査をします」と宣言したのに…11月7日、静岡県庁本館にある議会棟の一室で、PFASの講演会に招かれた。 <PFAS“連鎖”汚染> 汚染は土壌から地下水へ、地下水から飲み水へ、飲み水から体内に取り込まれるだけでなく、汚れた土や水を通してつ

【諸永裕司のPFASウオッチ】東京・多摩地区の住民が血液検査や米軍基地への立ち入りを要請、小池知事はどう答える?

「永遠の化学物質」として問題になっているPFAS(有機フッ素化合物)の最新情報を、フリージャーナリストの諸永裕司さんが伝える「PFASウオッチ」第2回を発信します。 体内汚染が確認された多摩地区の住民がついに東京都に要請きっかけは、2020年1月6日付朝日新聞の1面に載った記事だったという。 東京都が横田基地からの有害物質の漏出を調べるために設けたモニタリング井戸から、PFOSとPFOAの合計で最大1340ナノグラムが検出された、と伝えていた。このPFAS報道の第一報は当