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「人質司法」と冤罪事件

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大川原化工機の冤罪事件をはじめ、「人質司法」と言われる捜査当局の長期勾留の問題などが相次いで明らかになっています。そうした捜査の果てに起きてしまう「冤罪事件」も。この問題をめぐる…
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#人質司法

「自分と同じ尊厳のある人間だと見ていない」警視庁内規から考える治療中の手錠使用と立ち合いの是非

警視庁に詐欺容疑で逮捕された日下早苗さん(48)は、勾留中の2023年8月、心臓の病気で救急搬送された際、手錠につながれたままの状態で治療を受けさせられた。 今回の取材で明らかになったのは、情報公開請求で入手した内規「警視庁巡回護送規定の制定について」の問題点だ。 警視庁の内規は、国際基準や関係法令の原則に反している可能性がある(全2回のうちの2回目)。 スローニュース 宮崎稔樹/フロントラインプレス 戒具の利用はどこまで許されるのか刑事施設の管理や被拘禁者の処遇の在

「手錠は規則だから外せない」救命のための医師からの要請に応じない警視庁の非道な振る舞い

警視庁に逮捕された40代女性が心臓の病気で留置場から病院に救急搬送された際、手錠につながれたままの状態で治療を受けさせられていた──。 無罪主張を続ける女性が、300日以上に及ぶ勾留体験を独占告白した。医療行為中の戒具(手錠・捕縄)の使用はどこまで許されるのか。 女性は「人間扱いされているとは到底言えなかった。適切な医療を適切な形で受けさせてほしかった」と訴えている(全2回のうちの1回目)。 スローニュース 宮崎稔樹/フロントラインプレス 勾留322日、一貫して無罪を

無実で死刑判決…冤罪事件を生み出した刑事が法廷で明かした「改心させる」という取り調べのあり方

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 西山美香さんが好意を持った刑事に直接質問 机バンバン「こうやって叩きませんでしたか?」 無罪判決で「虚偽自白を誘発した疑いが強い」と指摘された刑事の反省なき証言には驚きました。 当時つとめていた病院の入院患者を殺害したとして殺人罪で懲役12年の刑で服役、

「裁判所にこそ不当な身柄拘束を長引かせた最大の責任がある」大川原化工機冤罪事件をめぐるNHK解説委員の重要な指摘

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。 きょうのおすすめはこちら。 『大川原化工機えん罪事件』 司法の責任はスローニュースでもお伝えしてきた、化学機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の冤罪事件。 勾留中に判明した胃がんで亡くなった元顧問・相嶋静夫さん(当時72歳)の遺族が、東京拘置所で適切な医療を受けられずがんの発見が

大川原化工機「冤罪」事件に「最悪の判決」…遺族が訴える「人質司法」が見殺しにした父親の無念

冤罪のまま、胃がんで「無念の死」を遂げた男性。だが「適切な治療をしていれば延命は可能だった」と訴える遺族の思いは届かなかった。“人質司法”の問題がクローズアップされたこの事件、男性の長男は「想像していた中で最悪の判決だ」と語った。 スローニュース 宮崎稔樹 化学機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の冤罪事件を巡り、勾留中に判明した胃がんで亡くなった元顧問の遺族が、東京拘置所で適切な医療を受けられずがんの発見が遅れたなどとして国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(男

冤罪のまま病死した父の無念!苦痛を無視し保釈を7回も却下した司法は「無実の被告の死」さえ知らなかった…大川原化工機事件遺族『悲しみの新証言』

「もっと早く適切な治療ができていれば、こんなに早く亡くなることはなかった」 胃がんが見つかりながら保釈が認められず、約11カ月にも及ぶ身柄拘束の末に被告の立場のままで亡くなった男性。しかし男性にかけられた容疑は、現役の捜査員が「捏造ですね」と法廷で証言するほどの「冤罪」だった――。 男性の遺族は「亡くなったのは拘置所内で適切な医療行為を受けられなかったため」などとして国を提訴、21日に東京地裁で判決が言い渡される。 今回の取材で、男性が勾留一時停止後に「無念の死」をとげ