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「災害前線報道ハンドブック」と災害関連リポート

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大災害は突然にやってきます。その時、何を取材するべきでしょうか。記者たちに的確な指示が出せるでしょうか。ありそうで存在していなかった「災害時の取材マニュアル」ジャーナリストのプレ…
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2024年4月の記事一覧

災害前線報道ハンドブック【第4章】復興フェイズ①復興の「空白地帯」を見つける

スローニュース 熊田安伸 今回から第4章「復興フェイズ」です。復興計画・復興事業のチェックは、まさに「調査報道」そのもの。拙著『記者のためのオープンデータ活用ハンドブック』とかぶるテクニックやツールも多いですが、災害報道に特化した形でご紹介していこうと思います。 復興の現場を何度も歩くと…新潟県中越地震の発生から1年が経過した2005年の小千谷市。復興予算の規模は350億円で、本来なら既にかなりの復旧工事が進んでいるはずでした。 しかし小千谷市を担当しているNHK新潟放

災害前線報道ハンドブック【第3章】検証フェイズ⑧避難行動を検証する

スローニュース 熊田安伸 第3章「検証フェイズ」の最後は、発災時の「避難行動」の検証です。証言を集める方法と、テクノロジーを使う方法。それぞれ報道の実例とともに紹介します。 避難行動は適切におこなわれていたのか大災害での避難行動の検証は、非常に重要です。東日本大震災で特に大きな被害が出た宮城県石巻市の大川小学校や、岩手県釜石市の鵜住居地区防災センターについては、当時のいきさつを自治体や各メディアが詳しく検証してきました。 そもそもの避難計画や防災計画が適切だったかどうか