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「災害前線報道ハンドブック」と災害関連リポート

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大災害は突然にやってきます。その時、何を取材するべきでしょうか。記者たちに的確な指示が出せるでしょうか。ありそうで存在していなかった「災害時の取材マニュアル」ジャーナリストのプレ…
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2023年12月の記事一覧

災害前線報道ハンドブック【第3章】検証フェイズ①防災計画を検証~震度7の町が大混乱に陥った理由とは

スローニュース 熊田安伸 今回から第3章です。災害時には「いま、目の前で危機に瀕している命を守る取材」が最優先ですが、落ち着いて来たら、「次の災害で命を守るための取材」が必要になってきます。発生した災害から、反省すべき防災や避難の課題が見えてくるはずです。ここからは、より一層、調査報道のテクニックが重要になってきます。 震度7の町に地震への備えがなかった!2004年の新潟県中越地震で、最大の震度7を観測した川口町(当時。現在は長岡市に合併)。町全体が孤立して大混乱に陥りま

災害前線報道ハンドブック【第2章】避難フェイズ⑥被災者や遺族への取材

スローニュース 熊田安伸 災害報道で最もハードルが高いものの一つが、被災された方や、亡くなった方の遺族などへの取材です。相手への十分な配慮が必要なことはもちろん、場合によっては取材する側のメンタルにも強く影響することがあります。どのようにするのが一番いいのか。 結論から言ってしまえば、他のあらゆる取材と同じでケースによって判断するしかないので、「答えはない」のです。とはいえ、参考になる実例はいくつもあります。今回は、そうした例を紹介したいと思います。 それまでは取材がで