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「災害前線報道ハンドブック」と災害関連リポート

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大災害は突然にやってきます。その時、何を取材するべきでしょうか。記者たちに的確な指示が出せるでしょうか。ありそうで存在していなかった「災害時の取材マニュアル」ジャーナリストのプレ…
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2023年6月の記事一覧

災害前線報道ハンドブック【第1章】発災フェイズ①マッピングで“空白地帯”を割り出せ

スローニュース 熊田安伸 まずは「発災フェイズ」の取材について有効な手法をまとめます。大災害が発生した直後に何をするべきなのか。「いま起きているのがどんな災害なのか」は、誰も教えてくれません。それをつかむ方法です。 災害の規模が大きいほど、実は「どこで被害が出ているか」が分からない地震の最大震度は「7」です。日本の観測史上、震度7を記録したのはたったの5回。実はそのいずれでも共通していたのが、「どこで大きな被害が発生しているか、当初はわからなかった」ということなのです。当

災害前線報道ハンドブック【はじめに】大災害発生!その時、あなたは何を取材しますか

スローニュース 熊田安伸 災害前線報道の「ハンドブック」始めます大地震、台風、豪雨、豪雪、そして火山噴火。この日本という国では決して避けられないものです。だからこそ、多くの人の命と財産を守るために必要な情報を提供するのは、本来その役割を担う行政だけでなく、メディアにとっても重要なことです。 とはいえ、大災害に遭遇する確率が、記者人生で何回あるでしょうか。いきなり襲ってきても、何をどう取材したらいいのか、記者たちにどう指示を出したらいいのか、わからないという人も多いのではな

オープンデータが導いた画期的判決 “常識”を覆した大川小裁判とは

一審ではとにかく「負けることが許されない」齋藤弁護士 だいたい国賠訴訟の裁判官の判断というのは、「現場過失一本主義」というんだそうですけど、とにかく現場でそこにいた公務員の過失が認められれば判決が書けるから、それ以外のところはいらんということなんですね。 一審の裁判官は、すでに自動車学校の事件の判決(注:宮城県山元町の自動車学校で津波で亡くなった従業員や教習生の遺族が学校側を訴えた裁判)で学校の責任を認めて、まさしく現場過失一本主義の典型的な判決理由を書いている。そういう裁