BBCがハマスの大規模攻撃を分析した「オープン・ソース・インテリジェンス」の手法
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【解説】 イスラエルへの急襲、不可能と思われたが……ハマスはどうやって
パレスチナ自治区のイスラム組織「ハマス」とイスラエルの武力衝突による死者は10日現在、1600人を超えて、事態はさらに悪化する懸念がつづいています。
ハマスがなぜ突如、イスラエルへ大規模攻撃をしかけたのか、イスラエルによる空爆、それに反発するハマスの人質への残虐行為は止められないのか。国際社会は無力なのか。ーーさまざまな解説がメディアを飛び交っていますが、その行方は見えてきません。
そんな中、BBCニュースが戦闘員や民間人が撮影した映像やSNSを分析、今回、イスラエルの警戒をくぐりぬけて、なぜハマスが統制のとれた大規模な攻撃をしかけることができたのかを検証しています。
その中には戦闘員がフェンスを切り開いてバイクでイスラエルへ侵入する様子(タイトル画像左側)や、人質らしき人たちが連行されていく姿を写したしたSNS(タイトル画像右側)やプロパガンダ画像が含まれています。
BBCは、その動画や画像を分析して、ハマスが統制のとれたかたちでほぼ同時に複数の地点から侵入、イスラエルの奥深くまで攻め込み、コンサート会場などをおそって人質を拉致した経緯を明かしています。
記事で紹介されたのはごく一部ですが、実際には人質が殺される場面といった残虐な動画もネットにはあふれています。ハマス側は攻撃のようすやイスラエル兵の遺体の画像などをプロパガンダとしてテレグラムなどSNSで積極的に流しているようです。
ウクライナ戦争でも注目された、SNSを使った戦意高揚のためのプロパガンダ、そしてネット上の公開画像などを分析するOSINT(オープン・ソース・インテリジェンス)が、この戦場でも多様されています(瀬)
(BBCニュース 2023/10/9)