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非公認にも渡していたことで注目の政党交付金、自民は選挙の月に42億円を投入する猛烈なテコ入れぶりだった!【全議員データで見えた政治とカネ②】

国会議員全員の関係する団体の政治資金収支報告書をデータベース化して分析する取り組み、2回目は国会議員の政治団体の「収入の変化」について、より掘り下げます。

2020年から2022年までの3年分のデータベースをもとにそれぞれの政党ごとに分析したところ、選挙期間中に自民党がすさまじいまでの「テコ入れ」をしている実態が見えてきました。やはりキーとなったのは、注目の「党本部からの交付金」でした。

集計:「政治資金データベース」制作グループ/構成・文:熊田安伸

選挙の年、自民党は例年の倍以上の交付金を議員に投入してテコ入れ

前回は自民党議員の選挙イヤーの交付金の動きについて取り上げましたが、今回は2020年から22年にかけての3年間で、衆議院議員の団体の収入がどのように変化したかという視点で見てみます。

※立憲民主党は2020年9月に結党したので、2020年は対象外、日本維新の会などは議員数のサンプルが少ないため、今回の分析からは外しています。

結論からいうと、やはり衆院選があった2021年の選挙イヤーは収支ともに伸びています。ぐんと伸びた費目は「交付金」「寄付」でした。

交付金といえば、河井克行・案里夫妻がそれぞれ代表を務める政党支部に、あわせて1億2000万円もの交付金が自民党本部から投入されたことが記憶に新しいですが、やはり他の議員も含めて、選挙となると交付金でのテコ入れが図られているのでしょうか。

そこで、自民党の小選挙区選出議員への交付金を見てみると、こうなりました。(※中央値です)

 2020年 1300万円
 2021年 2772万円
 2022年 1350万円

案の定、選挙イヤーの2021年が倍以上に伸びていますね。これは「今度こそ小選挙区で勝利」を目指す、比例復活の議員でもほぼ同じ傾向でした。一方で、比例単独の議員が受け取った交付金は、2021年は微増していますが、他の年と大きな変化がなく、やはり小選挙区の候補への「テコ入れ」であることが浮かび上がった形です。

ちなみに公明党は、選挙があってもなくても、毎年2000万円台で大きな変化は見られませんでした。

立憲民主党の議員は、2021年は小選挙区選出・比例代表ともに2021年が1700万円台、2022年が1000万円台で、やはり多少はテコ入れしている様子がうかがえます。

一方で、低かったのが「機関紙誌の発行その他の事業による収入」つまり、パーティー券等の収入です。これについては、 2021年はコロナ禍の真っただ中ということで、政治資金パーティーを開催しづらかったことが影響していると見られます。

※詳細な集計データは文末に

選挙の年…どころか、選挙の月にカネをかき集める自民党議員

今回の分析では、月ごとのデータの推移も検証しています。ここからも、さらに興味深いものが見えました。

2021年の1月から、衆院選の投開票日である10月31日まで、解散前までの現職の衆議院議員から立候補しなかった42人を除いた412人のうち、10人以上所属する政党の自民党の256人、立憲民主党の103人、公明党の20人の計379人の関係する政治団体(資金管理団体や政党支部など1075団体)を対象としています。「外部」から集めた政治資金を明らかにするため、自身の団体間で行った資金の移動など、「内部取引」はデータから差し引いてあります。

衆議院議員たちが調達した資金の推移をグラフで見ると、一目瞭然。選挙の公示から投開票があった10月の収入総額が77.9億円と、突出して高くなっています。

政治資金の収入総額(2021年月次) 単位:億円

なぜ10月に突出しているのか。もちろん、選挙があるから懸命に資金を集めたのだろうと、容易に想像できますが、実はこれを政党別に見ると、クリアに見えることがあります。10月の77.9億円のうち、実に92%にのぼる71.8億円は、自民党の議員が集めたカネなのです。

ここから先は会員限定です。自民が42億円という莫大な交付金で選挙へのテコ入れをしている実態を明らかにするとともに、。各党の収入がどのようなものだったかを分析した詳細なデータを掲載しています。

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