わが町の水道料金の高さと老朽化・耐震化を可視化。突然、水が出なくなる事態が起きうると警鐘を鳴らしたコンテンツ
あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。
きょうのおすすめはこちら。
“ある日 突然、水が出ない”全国危機マップで見る水道リスク
誰かがやらないかな、と思っていたコンテンツが登場しました。全国の自治体の水道事業者などのデータから、水道料金や老朽化率、耐震化率を可視化した報道をNHKが発信しています。
水道料金の大幅値上げが相次ぐ状況は、16年前のNHKスペシャルでも全国調査の結果を取り上げています。ただ、この時には特徴的なケースを取り上げていましたが、全国の状況を可視化できるデジタルコンテンツとしての発信はまだありませんでした。
今回の記事では、値上げに踏み切らざるを得ない「水が売れない時代」の新たな事情や、老朽化への対応策なども詳しく取り上げています。詳しくは記事をお読みください。
また、上記の記事にも埋め込まれている新たなデジタルコンテンツとして「水道危機マップ」を配信しています。
実際に使ってみると、NHKの記事の内容とは別に興味深いことも見えてきます。
能登半島地震で大きな被害を受けた石川県珠洲市では、震災の前から全国的に見ても水道料金が高い状況でした。今後のことが心配です。
老朽化率でみると、石川県内では実は能登よりも金沢市のほうが高く、対策が必要になっていることが見て取れます。
耐震化率を見ると、長く断水が続いた七尾市や志賀町で特に低い状況でした。今回の被災状況にも関係しているのではないでしょうか。同じような状況は全国の自治体に相次いでいるので、今後の災害に向けて備えが喫緊の課題であることが浮かんできますね。
データ編集にあたったのは、齋藤恵二郎記者と署名があります。彼は以前はデジタルが得意というわけではなかったのに、いまではそれを武器にした報道を展開していて、その手法も公開しています。
話は逸れますが、NHKではデジタル化縮小で新規コンテンツが出しにくくなっていると言われていたので、そういう意味でも素晴らしい取り組みだと思いました。(熊)