違法性のある「選挙に関する寄付」がなぜまかり通るのか、企業側と議員側の論理をベテラン秘書が赤裸々に証言
【10秒要点チェック】
2017年と2020年の選挙で検証。投開票日に向かって集中する献金
ベテラン秘書が証言、「違法性がある寄付」がまかり通る企業側と議員側の論理
上脇教授「そもそも選挙に関してなくても、公共事業を請け負った企業の献金は税金の還流だ」
取材・執筆 フロントラインプレス
【前回までのおさらい】
政策決定や予算配分に大きな力を持つ与党自民党の国会議員たちに対し、国と契約関係を持つ企業が選挙に合わせて集中的に献金を続けていく。そんな実態をフロントラインプレスは沖縄を舞台に検証してきた。
沖縄の自民党議員5人が受け取ったそうした寄付は、2021年までの10年間で少なくとも計68件・総額2040万5000円に達している。
国と契約関係にある企業が選挙に関して行う寄付(特定寄付)は、公職選挙法で禁じられており、違反した者は禁錮3年以下・罰金50万円以下という刑事罰の対象になる。それなのになぜ、特定寄付は横行するのか。
「自民党と企業のカネ」を問うシリーズの3回目は、沖縄の自民党議員5人が受け取った計68件の全貌を明らかにする。
上脇教授「特定寄付が禁止されている理由はこれだ」
公職選挙法はなぜ、特定寄付を禁じているのか。その理由について、政治資金問題のエキスパート、上脇博之・神戸学院大学教授は次のように説明している。
国会議員は国の公共工事に関して国会で発言権があり、公共工事の有無や工事額の増減に影響を及ぼす地位にある。そのため、国と契約している企業が選挙に関して政治献金することは禁止されている。
国と契約している企業は国政選挙に関し寄付できない。ただし、条文の「選挙に関し」という条件は選挙運動のための寄付の禁止ではなく、国政選挙があるとわかっていれば禁止。選挙期間外であっても選挙があると分かっている場合は、選挙期間の前でも禁止。
ところが、これに反する企業献金の授受は止むことなく続いてきた。それを詳細に示したのが、別添の表である。5人の議員がいつ、どの企業から、いくら受け取ったのかを一覧で示した。68件の寄付は、いつ、どの企業によって行われたのか。毎年の政治資金収支報告書だけでなく、公共事業の入札状況などのオープンデータも徹底利用して調べた結果である。