「進化系コタツ記事」はどこまで到達できたのか、絶海の孤島にある日本人墓の謎を(現地に行かないで)追う
あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。
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Googleマップで見つけた孤島の墓…119年前の野球が意味するもの 元島民にも聞いてみた
「現場百回」は、記者にとっても刑事にとっても鉄則……の、はずなんですが、こーんなところ行けるはずがない。取材費を出してくれるわけがない。行ってもいい記事がかけるかどうか分からない。ということで、徹底的な「コタツ取材」でどこまで調べられるか、やってしまった記者が東京新聞・デジタル編集部の谷岡聖史さんです。
ある日、Googleマップを遊び半分でいじっていると、太平洋のど真ん中のミッドウェー諸島に、なぜか日本人の墓が存在しているのを発見。「櫻井又五郎」という名前が刻んであるようです。いったい誰?なぜここに?
そこで谷岡さんは、とにかくデジタルを駆使してどこまで調べることができるのかという、人によってはそれ仕事ですか何やってるんですかと突っ込みたくなるような取材に突き進んでいくのです。(いやこれも立派な取材だと思っております)
古(いにしえ)の記録を掘り下げていくため、彼がどんなツールを使っているのか、ここまで4回の連載からちょっと並べてみましょう。
まずは、「国立公文書館アジア歴史資料センター」。過去の公文書をネットで調べられます。
米スタンフォード大フーバー研究所が運営、海外で発行された日本語新聞の電子アーカイブス「邦字新聞デジタル・コレクション」。
そして、ご存じの方も多いかもしれない「国立国会図書館デジタルコレクション」。これはパワフルですよね。
調査報道記者には必須の情報源「官報」も、この国立国会図書館デジタルコレクションで1883(明治16)年7月から1952(昭和27)年4月までの古いものが全文検索できるようになったそうです。
さらに、トップページに"Aloha!"の文字が躍る「ハワイ州立公文書館デジタルコレクション」。
米国議会図書館の「Chronicling America」は、1770年から1963年までのアメリカ各地の新聞を無料で全文検索できとのこと。こんなの日本にもほしい。
過去のことを調べたい記者や研究者にとっては、まさに知っておきたいアーカイブサイトの数々ですよね。
このほかにも外務省外交史料館などには足を運んでいるようですが、基本はパソコンに向かってひたすら調べ続けたようです。「使えるものは何でも使う」は、「現場百回」と同じく記者の鉄則ですよね。これも一つのOSINT(オープンソース・インテリジェンス)です。
果たして、どこまで謎を解明できたのか。その結果はぜひ記事の方を読んでみてください。(熊)
(東京新聞 2023/2/13~9/11)
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