斎藤氏の街頭演説の盛り上がりを押し上げたのは「大阪や京都からの40代の男性」だった! 立花氏の「コバンザメ」効果はあったのか?【兵庫県知事選挙の人流データを検証する】
話題になった兵庫県知事選挙。SNSを利用した選挙戦略などが話題になり、選挙戦の序盤から終盤にかけて、大きく情勢も変化したと言われています。しかしSNSのフォロワー数などを比較した報道はあっても、街頭での盛り上がりの実態をデータで検証した報道は見当たりません。
そこで今回、ソフトバンクグループで「人流データ」の分析に長けた企業「Agoop」に分析を依頼。スマートフォンの位置データから、実際にどんな人がどの候補の街頭演説を、どのように聞いたのかをデータで明らかにします。
さらにこのデータの「現場」を見ていた地元の神戸新聞ともコラボレーション。当時の状況を詳しく解説してもらいました。
スローニュース 熊田安伸
分析の対象としたのは、街頭演説の推移
今回、分析の対象としたのは、斎藤元彦氏と、稲村和美氏の街頭演説です。スマートフォンの位置情報データから、街頭演説付近に15分以上滞在した人を割り出して分析することで、普段の人の流れと街頭演説が行われた日との人の流れの違いを分析しました。(なお、位置情報データは、スマホのアプリより承諾を得たユーザーからのみ取得していて、同意を得ていないユーザーからは一切収集していないとのことです)
斎藤氏の街頭演説、聴衆の数を押し上げた要因が見えた
まずは斎藤氏の街頭演説を見てみましょう。斎藤氏は、告示日と最終日をはじめ、繁華街である三宮の中心部で何度か演説をしているので、そちらで変化を比較します。
初日(10月31日)大きな盛り上がりはなし
まずは選挙戦初日、告示日の10月31日のデータです。普段の人の流れと比べて増えてはいるものの、大きな変化が見られません。こちらは兵庫県民に絞ったデータです。
今度は兵庫県以外から三宮を訪れた人を見てみます。グラフは演説が始まる前から普段より伸び始め、待ち受けていた人たちがいたことをうかがわせます。ただ、それほど大きな盛り上がりではありません。
中盤(11月10日)増加はしていたものの…
その8日後、11月10日は選挙活動期間で最後の日曜日でした。普段なら6000人程度の人流なのに、3割多い約8000人が訪れていました。
県外から訪れた人も同様です。ふだんは1400人程度なのに、4割以上多い約2000人が訪れていました。男性が増え、40代が2倍近くに増えているのも特徴で、これは兵庫県民の人流とは違った傾向です。
当時、現場で取材した神戸新聞の記者によると、三宮センター街の東口は立ち止まって演説を聴く人たちでひしめき合い、センター街へ出入りする人たちが通れないほどの状況になっていました。当然のことながら県内在住者かどうかは現場では分かりません。「まさか県外からこんなに来ていたとは」と、驚いていました。
とはいえ、爆発的な伸びとはいえません。しかし、同じ11月10日でも、ある要因を加えた場所では劇的な伸びを示していました。