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関東大震災から100年 防災は?歴史の教訓は?メディア発信のコンテンツまとめ

9月1日は関東大震災の発生から100年でした。メディア各社とも当日や前後に、防災の検証や呼び掛けのためのコンテンツや、歴史を掘り起こした記事を発信しています。

そこで今日の必読は特別編、各社の注目の発信をまとめました。

「虐殺」の教訓は

関東大震災が発生した際、流言が引き金となって朝鮮人などの虐殺が起きました。NHKのクローズアップ現代では、ことし存在が明らかになった小学生の作文集の生々しい目撃談や、虐殺を間近で目撃した人の証言音声を発掘して報道。映画『福田村事件』の監督を務めた森達也さんへのインタビューも。

「キーワードは集団です。不安や恐怖を刺激されたときに、とにかく集団になりたがる。集団化すると異物を探し始める。なぜなら異物を探した瞬間に自分たちは多数派になれるから、より強く連帯できるわけです」

こうして主語が大きくなり、国家のレベルになると戦争にもつながるという話は、強く印象に残りました。

その時、千葉県の福田村で何が起きていたのか。史実を題材にした映画『福田村事件』は、防災の日の9月1日から公開されています。

毎日新聞は、聴覚障害者の青年が、朝鮮人と間違われて自警団に殺されたエピソードを紹介。こうした流言の被害だけでなく、大災害の際には障害者が決定的に情報弱者に陥る問題も指摘しています。

医療は確保できるのか

日本経済新聞は、1都3県の計167の災害拠点病院を独自に調査。その6割で、受け入れ可能な患者数が平時を下回ると伝えています。発災6時間以内に集まれる医師の数も通常の3割強にとどまるとも。

この「首都の弱点」という特集では、増えるタワマンで防災の在り方も変わってきている実情や、いまだに解消されない「木密」の問題も取り上げています。

NHKのニュースウオッチ9も医療体制について特集しました。関東大震災の際、火災で負傷しながらも2万人ほどが生き残っていたのに、救護の手が及ばなかったために命を落としたという研究者の話を紹介。少なくとも5つの大きな病院が入院患者を守ることに追われて新たな患者を受け入れられず、医療関係者を支援する軍や警察も流言で警備に追われたため、医療の空白ができていたことを伝えています。一方でそうした状況に備え、D-MATで行われている新たな取り組みについても取り上げています。

新しい表現で伝える

朝日新聞は、関東大震災の発生から72時間を、文豪や経営者、当時小学6年生の少女らが残したテキストをもとに再現。スクローリーテリングの方法で表現することで、ぐいぐいと引き込まれて読んでしまう構造になっています。

いま世界のジャーナリズムで活用されているOSINT(オープンソース・インテリジェンス)の手法を使って、関東大震災の実態を解明した報道も発信されました。NHKは震災直後に撮影されたモノクロフィルムを最先端の映像技術で8K高精細化。鮮明にカラー化された映像を、ワンカットずつ当時の電話帳などの情報と突き合わせていくことで、これまで分からなかった映像の場所や時間を特定しています。さらに人々の表情も読み解くことで、映像は一級の歴史資料に。生存者の164時間分の音声などとも合わせ、100年前の巨大災害を追体験することを可能にしました。

日本経済新聞の、2つのデータビジュアライズも印象的でした。

関東大震災での大火災がどのように広がって行ったのかをビジュアルで表現。ここまで「軽い」操作感で、しかも一目で理解できるユーザーインターフェースが、非常に優れています。

もう一つは、日本でこの100年に起きたマグニチュード5以上の地震を可視化。こちらも重くなりそうなサイトなのに、サクサクと動いて、見た目にもわかりやすいですね。

行政が自ら発信

今回は、気象庁をはじめ、内閣府総務省消防庁国土地理院東京都神奈川県など行政側が特設ページを設けて発信しているのも特徴的でした。工夫のないメディアの発信だと、もはやこちらで十分ということになりかねないですね。

ただ、これらのサイトは防災に関することは充実しているものの、大きな問題となった「流言」のことには言及していないのが残念です。おそらく唯一、内閣府防災のサイトが、中央防災会議の報告書の内容として、「流言を背景に、住民の自警団や軍隊、警察の一部による殺傷事件が生じた」ことを明らかにしています。

今回、紹介しきれなかったメディアでも、「火炎旋風」や「木密」の問題、防災の在り方などについて特集しているので、この機会にぜひ目を通してみてください。(熊)

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