【注目トレンド】英国でも話題の「独立系個性派書店」に挑戦する日本の若者たち
あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。
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ブレイディみかこ「英国の子どもたちが考える『本の未来』。20年以上続いた書店減少が、今止まっている理由」
ターミナルの大型書店や駅前の本屋さんの閉店のニュースが相次いでいます。出版科学研究所の調査では、03年に2万880あった日本の総書店数は、22年には1万1495まで、およそ半減しています。
書店がない街も珍しくなくなり、出版文化産業振興財団(JPIC)の調査によれば、2022年時点で、全国で「書店ゼロ」の市町村の割合は26.2%にまでのぼっています。
そんな中、ノンフィクション作家、ブレイディみかこさんが婦人公論の連載エッセイ『転がる珠玉のように「本の未来」第43回』で、やはり同様に歴史ある書店さえいくつもなくなって来た英国で、大きな変化が起きているという話を紹介しています。
なにか起きているのか。
実は、書店の数が減少し続けている日本でも、最近、個性的なオーナーが選書にこだわった独立系の書店が増えているのです。
ジャーナリストの浜田敬子さんは、Jbpressでの連載「だれが本を生かすのか」の中で、最近、独立系書店を目指す20代、30代が増えているとして、その1人、関口竜平さんにインタビューをしています。関口さんは千葉市で「本屋lighthouse幕張支店」をかいせつし、その店長をしています。
「ヘイト本を置かない」という方針を打ち出し、約20平方メートルと決して広くない売り場には小説やジェンダーや歴史の人文書が並び、50冊仕入れたジェンダー関係の新書が売り切れるケースも生まれています。
こうした独立系書店が成立するのは東京近郊という大きなマーケットだけではないでようです。NHK静岡も『個性派の本屋開業相次ぐ!書店業界変革の波が静岡にも』という特集を組み、沼津市や三島市に生まれた小さいけれど個性的な書店を取材しています。
これまで日本の出版会を支えてきた流通の仕組みが大きく変わろうとしています。書籍の売上が減り、書店数も急減する中で、本の配本を支えてきた「取次」業者の経営も厳しい状況が続いています。
そんな中で生まれてきた「独立系個性派書店」というチャレンジが成功し、本との出会いの場が多様化していってほしいですね(瀬)