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与野党政治家から批判されてもハマスを「テロリスト」とは呼ばない英国BBCにみる『公共放送の役割』

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BBC、ハマスを「テロリスト」と説明しない編集方針を擁護 英与野党は批判

英国の公共放送BBCは、パレスチナの武装勢力ハマスについて「テロリスト」と表現を使わないという決定を明らかにしています。

この方針について、英国政府の国防相、外相といった主要閣僚をはじめ、最大野党である野党労働党の党首からも批判を浴びています。

しかし、BBC側はその方針を維持することを明言しています。

BBC広報は、「BBCは独立した編集方針を持つ放送局であり、その業務は、視聴者が自ら判断できるよう、『現場』で何が起きているかを正確に説明することだ」と言い切ります。

この記事のよれば、BBCの編集ガイドラインは「テロリスト」という言葉について「理解を助けず、むしろ妨害する」可能性があるとしています。そのうえで、こう指摘します。

「我々は何が起こったかを説明することで、視聴者にその行為の全容を伝えるべきだ」
「『爆破犯』、『襲撃者』、『銃撃者』、『誘拐犯』、『反乱者』、『戦闘員』など、加害者を具体的に説明する言葉を使うべきだ」

できるだけ先入観を排し、事実を伝えようという徹底した姿勢もそうですが、政治からの圧力に対してひるまない毅然とした態度も、公共放送としての信頼性を高めているといえます。

われわれ海外の人間も、こうした有事の際にBBCの中立性に信頼を寄せていることが、英国の国際社会でのプレゼンス向上に寄与していることは、日本においても公共放送の役割を考えるときに重要な視点です。(瀬)

(BBC NEWS JAPAN 2023/10/12)

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