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地方創生を担うはずの人物が、実は「補助金ハンター」だった!?その実態を日経が報道

人口減少社会の日本、地方創生はもう待ったなし……と言われて久しいのですが、決定打となるような政策はまだ打ち出されてはいません。

そんな中で、地方創生のための補助金を狙ったかのような「補助金ハンター」が跋扈していると日本経済新聞が報じています。

紹介しているのは、2023年度に全国5市町でアドバイザーに就いていた男性のケース。「地域の魅力を高める知見やノウハウを持つ専門家として総務省がサイトで紹介する一人」だったそうですが、ある町では利活用するはずだった空き家がそのまま放置され、むしろ近隣の迷惑に。結局、自治体は1年で契約を打ち切りました。5市町のいずれでも契約更新はありませんでしたが、なんと24年度は別の自治体と契約を結んでいたということです。

こうした地方の人材支援にあてる国の特別交付税は23年度は326億円にのぼっていますが、有効に使われているかどうか、十分に点検できていないといいます。自治体は持ち出しが少ないのであまり懐が痛まず、その結果、抜け穴のようになって数千万円を稼ぐ人物もいるとか。

これではよく批判されたハコモノ行政のように、効果も分からぬまま税金が垂れ流しにされているのと同然です。日経が紹介したケースだけでなく、各地のメディアが地元での事業がどうなっているのか、より具体的に検証報道をしてもいいのではないでしょうか。

一方、日経は、行政事業レビューシートで地方創生を目的に掲げる政策を洗い出し、予算の過半を使い切れず、国庫に返納している実態についても報じています。

話は変わりますが、地方創生といえばやはり空き家問題は頭が痛いものです。

空き家の数が多い東京の世田谷区や、空き家率でいつも上位に名前が上がる静岡県熱海市などが知られていますが、沖縄県の粟国村の空き家率がとんでもないことになっていると沖縄タイムスが報じています。

粟国島には503軒の住宅があるのですが、半数以上の253軒、50.3%にのぼっているのだとか。沖縄県としては9.4%(総務省の令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計結果より)と、全国でも2番目に低いのに、どうしてこんなことに。

記事の有料部分に当たるので詳しくは書けませんが、多額の固定資産税が未納になっていてもなぜ差し押さえられないのか。そこには、沖縄ならではのなるほどという背景がありました。いや問題は本当に地域によって様々ですね。

日経は「エビデンス不全 地方創生の虚実」、沖縄タイムスは「人口格差 振興策を問う」というシリーズで検証しています。各メディアの地方創生についての報道に、今後も注目していきたいと思います。(熊)

このコラムは、あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしいという方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツなどをおすすめしています。