「支援のミスマッチ」「ボランティア批判」…能登半島で支援を続けるNPOが見た課題と希望
いま、災害の被災地ではNPOの果たす役割が年々大きくなっている。子どもの支援に取り組んでいる認定NPO法人「カタリバ」もその一つだ。能登半島地震でも発災直後から、現地で被災した子どもたちの居場所づくりなどの支援活動を行ってきた。
特に注目されるのが、子どもたち一人ひとりのニーズに合わせて支援の品を送り届ける「MY Boxプロジェクト」という取り組みだ。今回の被災地でも「支援のミスマッチ」が起きる中で、行政でさえ実現が難しいミッションをなぜ実現することができたのか。被災地支援の知られざる内幕を、代表の今村久美さんに聞いた。(2回連載その1)
聞き手:スローニュース 熊田安伸
「支援のミスマッチ」が必ず起きる被災地
被災地で必ずといっていいほど起きるのが、「支援のミスマッチ」だ。過去の大災害では、送られた支援物資が被災地で必要とされているものと合わず、大量に捨てられてきた現実がある。そして本当に必要なものは届いていない。
今回の能登半島地震でも、飲み水は足りていた石川県珠洲市に大量にペットボトルの水が送られ、配られないまま体育館の床が抜けてしまった例が象徴している。
国は2016年の熊本地震の頃から、被災地からのニーズを聞く前にとにかく避難生活には必要不可欠なものを迅速に送る「プッシュ型支援」に力を入れている。確かに一定の効果はある取り組みだが、内閣府の防災担当者によると、やはり「かゆいところに手が届かない」ところがあるという。
大きな避難所などには届きやすいが、当初は想定されていなかった場所に自然発生的に生まれた「計画外避難所」や、今回の能登半島地震でも注目されている「自宅避難者」の把握は難しく、届きにくい。
内閣府の担当者によると、2018年の西日本豪雨の時は地元のNPOの協力を得ることでようやく把握できた被災者もいて、支援の手が届くにはかなりの時間を要したという。
「MY Boxプロジェクト」とは
そんな中で、カタリバが実現したのは、あらゆるケースの避難している子どもたちを対象に、一人ひとりの状況やニーズに合わせて衣類や衛生用品、学用品などを送る「MY Boxプロジェクト」という取り組みだ。
連携協定を交わした石川県や珠洲市、輪島市とともに、子どもたちへと送っている。第1弾は1月23日に集団避難を実施した輪島市の中学生約250人に。第2弾は1月28日に390人。第3弾は2月2日に800人へと届けた。
国や自治体でも実現が難しい支援が、なぜできたのか。