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京都・綾部市や三重・四日市市でも、岡山や大阪と同じ「特殊なPFAS」を検出! 「同一汚染源からの可能性も」と専門家

深刻なPFAS(有機フッ素化合物の総称)による汚染が見つかった岡山県吉備中央町。汚染源となった「使用済み活性炭」から検出された「特殊な4種類のPFAS」が、かつてPFOA(PFASの一種)を製造していた大阪府摂津市にあるダイキン工業淀川製作所近くの地下水からも検出されたことは前回伝えた。

その「特殊なPFAS」が、新たに京都府綾部市や、三重県四日市市でも検出されたことが判明した。果たしてこれらはどこから持ち込まれたものなのか。その共通点とは――。

フリーランス 諸永裕司

廃棄物の最終処理場の下流で

綾部市の現場は産廃処理場(管理型)で、JR綾部駅から車で20分ほど離れた山間の集落のはずれにある。2004年に開場し、「汚泥」「燃え殻」「繊維くず」などのごみが持ち込まれ、埋め立てられている。

汚染が見つかるまでの経緯は次のようなものだった。

2021年、京都府の調査で、綾部市内の犀川からPFOSとPFOAの合計で69ナノグラム(1リットルあたり)が検出された。その後も350ナノグラムが出るなどしたため、京都府は犀川の支流である由良川の複数の地点で調べたところ、天野川が流れ込む合流点の上流と下流で濃度に大きな違いがあることがわかった。そこで、天野川を遡ってたどっていくと、そのさきに産廃処分場があった。

産廃処分場を運営しているのは樋口商店(©Google)

京都府が昨夏、産廃処分場の排水を調べたところ、国の指針値の920倍にあたる46,000ナノグラムが検出され、汚染源であることが確かめられた。別の調査では排水から87,000ナノグラムを検出したとの報告もある。

原田浩二・京大准教授はこの産廃処理場の排水が流れ込む川の水を独自に調べたところ、PFOAのほか、7H-PFHpA、8H-PFOA、9H-PFNA、10H-PFDAという4種類の「ハイドロPFAS(H-PFAS)」が検出された。それぞれ一般的なPFASの一部がフッ素から水素に置き換わったもので、これまで環境中からほとんど検出されたことはないという。

そんな物質であるにも関わらず、岡山の使用済み活性炭と大阪のダイキン工場近くの地下水からも検出されているのだ。

原田准教授は、西日本の離れた3地点で、きわめて珍しい「H-PFAS」が検出されたことについて「同一の汚染源から出たものの可能性がある」という。

では、どのような経路をたどって綾部市の産廃処分場に運び込まれたのだろうか。

ここから先は会員限定です。廃棄物処理でのPFAS規制はどうなっているのか。そしてPFASの使用さえ認めていない四日市市の半導体工場でも、特殊なPFASが検出されました。なぜなのか。

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