非行少年たちの更生を淡々とさせる「洗い屋」の日々を描いた大阪発ドキュメンタリー
あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。
きょうのおすすめはこちら。
ほっとけない“洗い屋” 〜尼崎 更生を支えて〜
本当に偉い人というのは市井にいるんだ、ということをあらためて思い知らされたドキュメンタリーでした。NHK大阪の「関西熱視線」で放映された「ほっとけない”洗い屋!~尼崎 更生を支えて~でした。
兵庫県尼崎市で、昏睡強盗やひき逃げ、覚醒剤といった事件をおこした若者たちを雇用して、なんでも洗う「洗い屋」を営む松本和也さんの活動を追いかけた、わずか30分足らずの番組は必見です。
更生を決意するものの、生活習慣がすぐには改まなかったり、昔の悪い友達とのつながりが断ち切れずにいたりする若者たちに、松本さんは真剣に向き合い、彼らの心を離さないようにしています。
ときにはトラブルで2000万円もの損害が出ても、家族に「お父さんは給料がもらえないかもしれない。貧乏になるかも」と嘆いてみせながら、彼らを見放したりはしません。
松本さんに感化されて、リーダー格になった青年「トム」をはじめ、若者たちが「恩」という言葉を繰り返すのが印象的でした。愛されること、人間関係の中にこそ、更生のカギがあります。中小企業の経営者である松本さんは、それを淡々と、しかし着実に示していきます。
2月に「ほっと関西」で放送されたときの内容は、記事でも紹介をされています。
大きなことを地道になしとげる小さな会社2、圧倒されました。(瀬)