国会議員だけじゃない!「政治とカネ」の疑惑に対する首長たちの「説明」に疑問符だらけ
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伊原木知事 後援会の政治資金収支報告書を訂正
「政治とカネ」の問題が注目を浴びる中、地方の首長から、驚くような発言が相次いで飛び出しています。
まずは、岡山県の伊原木知事。3年前に政治資金収支報告書の虚偽記載が発覚したあと、事実と異なる説明を繰り返していました。
「いばらぎ隆太後援会」の収支報告書を訂正したことを3月19日の会見で明らかにしましたが、なんと、「私自身、詳しいことを説明できるだけの知識を持ち合わせていない」と話し、詳しく説明しなかったというのです。
これでは首長として説明責任を果たしたと言えませんし、よく自分では理解していないものを公に提出できるものです。常人の感覚なら、そんなこと怖くてとてもできません。
さてこの問題、実はNHK岡山放送局の安井俊樹記者が暴いたのがきっかけでした。どのようにして不正を見つけ出したのか、その経緯を「詳しく説明」してくれているのがこちらの記事。マニュアルでもあり、政治資金報道の内幕話にもなっているので、興味深く読めると思います。
職業ジャーナリストではなくても、自分で政治とカネの問題を手掛けてみたいと思う方なら調べられるので、ぜひチェックしてみてください。
北海道知事、収容人数の3倍以上のパー券を販売 事前に把握
次は北海道の鈴木知事です。政治資金パーティーで会場の収容人数の3倍以上の枚数のパーティー券を販売していたことを道議会で指摘され、そのことを事前に把握していたことを明らかにしました。
「政治資金規正法の趣旨に沿って適切に開催されたもので、会場の都合でお断りをした人はいなかった」と説明しています。
確かに法律には会場の上限を超えて販売してはいけないという規定はありません。しかし規定はありませんが、「趣旨に沿っている」と果たして言えるのでしょうか。
一般的なイベントで、3000人がチケットを購入して、そのうち2000人はキャンセルさえしないまま来場せず、1000人しかやってこないなんてことはまずありえません。私も毎年、700人が参加するイベントを運営していますが、もし会場の収容数の3倍ものチケットを売りさばいてしまったたら、すぐさま返金しておわびするところです。
この状態は3年間続いているということで、政治資金パーティーという装置を使って集金していると批判されても仕方ないのではないでしょうか。
それにしても、「常識的に考えて納得できない」説明でよしとしている感覚は、やはり国会に「お手本」があるからでしょうか。
「納得できる説明がない」ということは、明確な原因がわからないということ。そうであれば、問題を解決する方法も見いだせないということになります。延々とこうした状態を続けていくのでしょうか。本当にため息が出ます。(熊)
(NHK 2024/3/19)
(NHK取材ノート 2023/12/28)
(毎日新聞 2024/3/20)
(朝日新聞 2024/3/7)
(産経新聞 2024/3/19)