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東京女子医大の教員人事や推薦入試が寄付金で左右されていたと指摘、読売新聞が次々とスクープ

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。

きょうのおすすめはこちら。

東京女子医大、教員人事で同窓会組織への寄付額を考慮…卒業生に「評価に影響」と要求

読売新聞が東京女子医大をめぐり、教員人事や推薦入試で公正性を歪めているとしか思えないカネの問題を次々と明らかにしています。

まずは6月17日に発信したこちらの記事。医学部を卒業した学生の教員への採用などの際、同窓会組織である「至誠会」にいくら寄付したかを考慮したというのです。

なんと寄付が「評価に影響する」と公然と通知し、10万円あたり0.5点に換算され、5段階で評価されていたとか。

記事では「役職を金で買うような仕組みがルール化されていた」としていますが、まさにその通りですよね。

実際、昇格の際に「ポイントが足りない」と言われて、泣く泣く寄付をさせられた教員の告白も関連記事では報じています。寄付を求められ、医局を去った人もいるとか。

カネで人事が左右されるという、まるで一昔前の物語のような話が実際にあるとは驚きでしたが、東京女子医大の問題はこれだけではとどまりません。

東京女子医科大、推薦入試で受験生の親族から寄付金受ける…文科省が報告求める

これはかつて、「裏口入学」と言われた問題と同じ構造なのではないでしょうか。

医学部を卒業した人の子女らが推薦入試を受ける際、受験生の親族から寄付金を受け取っていたと.、6月23日に読売新聞が報道しています。このケースでもまた、出願資格を審査した「至誠会」への寄付があったとか。

受験生側から両法人への入試時期の寄付額は、2022年までの5年間で少なくとも約3400万円。「文部科学省は入学に関する寄付金の収受を禁じており、同大に報告を求めている」としています。

入学試験をめぐる寄付というと、私自身も取材にあたった、2002年に発覚した帝京大学のケースを思い出しました。このケースでは関連する財団法人で寄付を受け取る形で、大問題になりました。

今回の舞台となっている「至誠会」では、この春からさまざまな問題が噴出しているところでした。

「至誠会」は情報が極めて不透明になる「一般社団法人」です。やはりこの形式の組織の闇は深いですね。一般社団法人法そのものを、考え直す時期にきているのではないでしょうか。

読売新聞は過去にも、東京女子医大で女子受験者を一律減点する恣意的操作をしている問題を調査報道で明らかにしています。

多くの医師を排出する大きな社会的な役割を担った大学がどのように対応していくのか、注目していきたいと思います。(熊)

(読売新聞 2024/6/17.23)