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日本にも多数のユーザーがいる無呼吸症の医療器具問題、米調査報道メディアが「苦情を秘密にしていた」と報道

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、社会の制度の矛盾を突いたコンテンツをおすすめしています。

きょうのおすすめはこちら。

Philips Kept Complaints About Dangerous Breathing Machines Secret While Company Profits Soared(フィリップスは会社の利益が急上昇する一方で、危険な呼吸器に関する苦情を秘密にし続けた)

夜中にいびきをかいて、何度も呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」。日本でも推定される患者は900万人もいるといいます。

その治療のために使われる医療器具に、健康被害をもたらすおそれがあるのではないかという指摘が出ています。スローニュースでも取り上げた、米フィリップス社製のCPAP装置(空気を鼻から送り続ける装置)や人工呼吸器など計36万台余りの自主回収(リコール)が行われている問題です。

この問題について、アメリカで調査報道に取り組む非営利で独立系のWEBメディア「プロパブリカ」が取り上げました。

米ピッツバーグの新聞社、「ピッツバーグ・ポスト・ガゼット」と共同で調査を実施。最初に苦情が寄せられた2010年から、リコールが発表された2021年までの間に何が起きていたのか。非公開の記録や社内関係者への取材によって、健康被害を引き起こすおそれを把握したあとも、それが隠されていたとしています。

フィリップスが医療機器を監督するFDAの苦情を11年間で3,700件以上保留していたことが判明した。そして、同社は2019年までこの問題の正式な調査を開始しなかった。

FDA=米食品医薬品局

さらに日本に関わる新事実としては、リコールの対象になったもののうち、人工呼吸器について、内部の発泡材が破損して交換が必要になことは日本で把握されたというのです。その後のアメリカでの検査で、この材質からホルムアルデヒドなどの化学物質が含まれていたと記事は述べています。

先日のスローニュースのイベントに参加した医療関係者からも、医療機器については製造したメーカーにしか分からないことも多く、メーカーの真摯な対応や説明責任が強く求められるという意見が出ていました。

患者であるユーザーや医療関係者が納得できるような情報の開示が、医療機器メーカーに求められています。

(PROPUBLICA 2023/9/27)